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春・夏・秋・冬

 「13歳のハローワーク」(村上龍著)という本がベストセラーとなっている。動物、スポーツ、映画、音楽、料理など、いろいろな「好き」を入口に514種の職業を紹介したもの。混沌とした社会が将来に対する不安を駆り立てていると思われる

▼これと関連しているのか、いま日本社会で「自分探し」というキーワードが流行しているそうだ。会社員や家庭の主婦、学生などが、日常生活からちょっと離れて違った自分と向き合うといったことのようである。ちょっと離れるというのは、海外旅行に行くという程度のものである

▼在日同胞の多くは異国で生活しているということから、自らのアイデンティティーと否応なく向き合わされて日々の生活を送らざるをえない。昔ほどではないにしても、職業選択の幅は制限されており、海外に出かけたからといって根本的に変わるものは何もない。在日同胞にとって「自分探し」とは、人間として本来あるべき権利を勝ち取るために闘ってきたこれまでの歴史そのものだといえよう

▼しかし、在日同胞に対する日本社会のいじめとも言える弾圧が強まっている。総聯各施設に対する固定資産税の課税、外為法の改悪、そして新たに朝鮮の船舶を狙い撃ちした特定船舶入港禁止法案が今国会に提出されようとしている。朝鮮はもちろん、在日同胞も経済的に窒息させようというのだろう

▼引き続き闘い権利を守っていくしかないのだが、何よりも、日本政府はもちろん一般の世論が迷走から抜け出し冷静になって本来のあるべき姿を取り戻すことが必要であろう。(徹)

[朝鮮新報 2004.2.19]