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春・夏・秋・冬

 昔見た映画が、「こんなに重いテーマを扱っていたのか」とあらためて感じることがある。最近見た「戦場にかける橋」もそんな一つだった。数十年前の映画であるにもかかわらず、今の状況と照らしてみて考えさせられることが少なくなかった

▼第2次世界大戦時、日本軍の捕虜となった英国軍兵士が、日本軍のために鉄橋をかける話が主題だ。一見、平和な話のようだが、まさしく戦争映画。とは言え、残酷な戦闘シーンはまったく出てこない。前半は日本軍大佐と捕虜になった英軍大佐の葛藤が中心だ。そして、後半は日英軍が「協力」して橋を完成させるまでが描かれる

▼だが、クライマックスは一転、破壊工作の任務を受けた英軍工作員の手によって、橋が無残にも爆破される。その橋を渡っていた機関車がまっさかさまに落ちる。機関車の中には、他の収容所に移送される英軍傷病兵が乗っていたというのがオチ。捕虜の一人である英軍医が「おろかだ」と叫ぶラストは印象的だ

▼声高に反戦を唱えているわけではないのだが、戦争は結局何ももたらさないことを静かに訴える作品だ。それはまさに、今、世界で起きている状況にも警鐘を鳴らしているかのようだ

▼大量破壊兵器を破棄するとの名目で始められたイラク戦争。しかし、いまだに兵器は見つかっていない。そればかりか、米国の調査団は兵器は存在しなかったとの結論を出した。では、何のための戦争だったのか。そのためにどれほどの犠牲者が出ているのか。戦争によって問題を解決しようとの考えは愚かとしか言いようがない。(聖)

[朝鮮新報 2004.2.5]