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除夜

 冷え冷えとした書斎に
 明かりを灯し
 ひとり
 夜が明けるまで
 行く年を
 ただ 惜しむ

 まるで
 江南を旅した
 あの日のように 
 夕陽の差す東屋で
 美しい人を見送った
 あの日のように

 (ソン・ピルデ 1599〜?)

 朝鮮王朝後期の文臣。一年を締めくくる静かな夜。過ぎ行く時の流れに、一抹の寂しさが伴う。毎日が出会いであり、別れである。人生に対する愛惜。

 原題は「守歳」。雑鬼の侵入を防ぐため、夜、あらゆる部屋や、倉庫、台所に庭先と、隅々まで明かりを灯して夜を明かすことをいう。釜の上にも明かりを灯し、竈の神に祈りを捧げた。もし眠ってしまうと眉が白くなると言われ、夜通し話し込んだり、さいころ遊びをする。地方によっては燈芯の燃え方を見て運勢を占ったり、一年の最後の夜だから、夕飯を残したり、家事をやりかけのまま年を越してはいけないとの言い伝えも。泉に、ごま油を入れたひさごを浮かべ、明かりを灯す地方もある。(朴c愛、朝鮮大学校文学歴史学部非常勤講師)

[朝鮮新報 2004.12.22]