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唇はまるで紅い桜桃

 翠の黒髪 新月の眉
 瞳はまるで杏の種
 唇はまるで紅い桜桃
 頬はまるで輝く銀器
 細く白い手に
 その姿はまるで花の枝
 みなが驚くその美しさ
 碧い絹の袖 金箔の帯に
 喜びが宿る
 まとめ髪がそっと乱れる
 月の精が降りてきたようだ
 何ものにも代えがたい女だ

 (19世紀?)
 ドイツの詩人ハインリッヒ・ハイネ(1797〜1856)は、次のような詩を残している。

 瞳はまるで碧い菫

 瞳はまるで碧い菫。
 頬はまるで紅い薔薇。
 手はまるで白百合の花。
 どの花も競うて咲いた。
 しかしーこころは腐っていた。

 (片山俊彦訳)

 詩人が讃える「紅い桜桃の唇」の女性は、はたして?(朴c愛、朝鮮大学校非常勤講師)

[朝鮮新報 2004.10.6]