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香り

 絹を晒す
 流れの岸の
 柳のした
 白馬の彼と
 手を取りあい
 心を許したから

 もしも
 梅雨の雨が
 軒を
 三月ぬらしたとしても
 指先の残り香を
 どうして
 洗い流してしまうことが
 できるでしょう

 (リ・ジェヒョン 1287〜1367)

 「白馬の彼」とは、もちろん白馬に乗って現れた「彼」のこと。恋人である「彼」と、束の間、手を取り合った逢瀬のとき。甘やかな想いを胸に、「もう、絶対手を洗わない…」と誓う乙女の心情を、「香り」に託して詠う。香りを残すのは、なにも女性だけではない。この詩は「小樂府」といい、当時歌われていた「朝鮮語」の歌を、漢詩の形式に移したもの。李齋賢は高麗末期の文臣。(朴c愛、朝鮮大学校非常勤講師)

[朝鮮新報 2004.9.1]