蓮の花 |
わたしは散りゆく蓮の花 朝鮮文学史上稀有な存在である雪竹は、安東權氏宅の奴婢であった。詩才に恵まれ、容貌も美しかった彼女は權氏の庇護の下、166編の詩を今に残す。幼い頃から、家の中から聞こえてくる詩文を詠じる声を頼りに、文才を開花させたといわれる。自らを「翠竹」と号したが、その身分の低さからかよく妓生の「翠仙」と混同され伝わることもしばしばあった。 近代以前の古い朝鮮の詩には、王や王妃、大貴族や高名な文人、またあまたの妓生と共に、雪竹のような最下層の民衆の詩も残っている。それら郷歌、時調、漢詩など、朝鮮の古い詩の中から、愛の詩をひもとき、訳出しようと思う。「愛はすべてに勝る」という言葉がある通り、人が最も共感を覚えるのは「人を求める心」であろう。わたしたちの祖父や祖母、父や母、姉や兄に、そしてわたしたちにつながる「祖先の心の声」に耳を傾けようと思う。(朴c愛、朝鮮大学校非常勤講師) [朝鮮新報 2004.6.2] |