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嵐を待つ心

 遠い遠い昔から
 ああ、幾百年幾千年の昔から
 鍬と鋤に背肉をはぎとられ
 じゃがいもときびに体の脂を吸い尽くされた
 山村の骨だけ残った土地で
 いまだ人々は収穫を待っている

 怠惰をさそう遅い春の日
 「わたしはこんなにも虐げられた…」
 石ころをあらわにした田と畑―
 そこで居眠りでもしているように鍬を動かす
 百姓の命をわたしは見る

 心も口もない土くれと知りながらも
 少しでも多くくれよと念入りに掘り返す
 その人たちの胸のなかには呪われた
 宿命がもたらす自足がいまだある
 自足がさせる屈従がいまだある

 空にも気だるそうな白い雲が浮び
 地にも重苦しい沈黙が敷かれた
 おお、こんな日こんな時には
 この地とわが心の憂鬱を吹き飛ばす
 東海から嵐でも来てくれ―と祈るのだ

「開闢」 (1925.3)に収録

李相和(リ・サンファ、1901―1943) 憂鬱なことを一掃してくれる嵐の到来を願う思いが今この時代につながる。嵐のあとはすっきりと晴れ渡った蒼空だ。(選訳・康明淑)

[朝鮮新報 2004.2.25]