集会を取材して 在日も積極的に呼応を、一様に「地域運動が重要」 |
「最近とくに感じるのは、『百聞は一見にしかず』ということ。日本のメディアだけを通じて朝鮮問題に接してきた人が、訪朝したり朝鮮学校を訪ねると『報道とはまったく違う』と、みなショックを受ける。打ち上げ花火的な大きなイベントも必要だが、一番大事なのは地域での地道な活動ではないか」 小泉首相の2度にわたる訪朝により、朝・日関係の改善が期待されたが、拉致問題をはじめとするマスコミの「北朝鮮バッシング」はいっこうに止むことはなく、情勢は依然として厳しい。そんな中、今集会に参加した人たちが運動のさらなる発展のために出した答えだった。 席順をくじで決めた懇親会。初対面の人もおり最初はややぎこちなかった参加者らだが、そこは志を一つにする者同士、時間が経つに連れ徐々に打ち解け、「日々変わる朝鮮の町並みや人々の表情に触れるたびに、何とか朝鮮の本当の姿を一人でも多くの日本人に伝えたい」「朝鮮学校生徒たちの生き生きとした表情や教師たちの情熱は、日本の学校では最近見つけるのが難しい。イジメや学級崩壊などさまざまな問題を抱える日本の学校が手本とすべきなのは朝鮮学校なのでは」など、活発に意見を交わしていた。 また、分科会でも国際的常識が通じない日本社会の異常さ、民族教育に限らず在日朝鮮人に対するすべての分野にわたる被差別状況の事実、日本人側の歴史認識の乏しさなどが指摘された。
それらを打開するためには、朝鮮を正しく見る「心の目」を養うこと、日本の中の朝鮮文化に触れる活動や在日朝鮮人無年金障害者や高齢者との日常的な触れあい、高句麗壁画古墳の参観などさまざまな分野での交流を、地域の特性に合わせて展開していくことの重要性が強調された。 「学校の教科書には朝鮮人強制連行に関する記述が少しだけある。しかし、教師が明治以降の負の歴史を知らないので、それ以上深めることができない。瑞浪市には朝鮮人強制連行とゆかりのある地が3カ所ある。そこを訪ねるだけでも正しい歴史認識を持つのに役立つ。一方で、こうした活動をメディアで積極的に取り上げてもらうよう働きかけることで、より広範な人に知ってもらえれば」(加藤明岐阜県朝鮮人強制連行真相調査団事務局長) 一方、参加者らが一様に指摘しあっていたのが世代の問題。高齢者が多い中、いかに若い世代を統一支持運動に取り込んでいくべきなのかを真剣に考えるべきとの意見が多く提起された。 参加者らは今後、民族教育権利擁護などの日朝友好運動の他にも、護憲、平和や駐沖米軍基地反対、自衛隊のイラク派兵反対運動などとの連携を密にすることで裾野を広げ、日朝友好運動をさらに発展させていこうとの決意を新たにしていた。 日本の人々のこうした地道な活動に力と勇気を得るだけでなく、在日朝鮮人側もこれに積極的に呼応し、朝・日関係の発展のために励ましあいながら手を取り合って運動を展開していくことの大切さを改めて感じた。(李松鶴記者) [朝鮮新報 2004.12.3] |