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朝鮮統一支持運動 全国集会基調報告 「節目の来年、国交正常化を」

 既報のように、11月27、28の両日、朝鮮統一支持運動第22回全国集会が熱海で行われ、各地で地道な日朝友好運動を続ける代表らが参加した。集会では、日朝関係を含む朝鮮半島情勢は依然厳しいものの、日朝の新たな時代を切り開くため、手を携えて広範な運動を展開していくことで意見一致を見た。以下、集会で行われた清水潤・朝鮮の自主的平和統一を支持する日本委員会事務局次長の基調報告要旨と集会で採択されたアピールの全文(別項)を紹介する。

 今、朝鮮半島情勢は停滞局面に陥っている。

 朝鮮半島核問題解決のための第4回6者会談は9月末までの開催で合意していたにもかかわらず、いまだに開かれていない。

 5月には第2回日朝首脳会談があったが、国交正常化交渉は再開されないまま今日に至っている。南北朝鮮の自主的平和統一に向けた交流、協力も滞っている。

 しかし、10年前あるいは20年前に比べれば、朝鮮半島と日本を取り巻く時代の流れは南北統一へ、日朝国交正常化へと確実に歩を進めていることは明らかで、もはや後戻りできない歴史のすう勢となっている。

朝米核問題は話し合いで

基調報告を行った清水潤・日本委員会事務局次長

 03年8月、初の6者会談が北京で開かれ、「朝鮮半島の核問題を、対話を通じて平和的に解決すること」で一致した。

 04年2月の第2回会談で朝鮮は、「凍結対補償」を提案。一方の米国は、「検証可能で後戻りできない形での核の全面廃棄」(CVID)を要求し、両国は鋭く対立した。こうした中、韓国はエネルギー支援の用意を表明。中ロもこの提案に賛意を示した両国。同年6月の第3回会談では、朝鮮は「凍結対補償」とともに米国の対朝鮮敵視政策の放棄を求めた。これに対し米国は、CVIDに言及せず「他国のエネルギー支援は認める」と譲歩の姿勢を見せつつも、みずからは支援に参加しないことを明らかにし、敵視政策放棄の要求については無視した。

 3回にわたる会談からも明らかなように、朝鮮を包囲して圧力をかけるという米国の当初の思惑は失敗に終わり、朝鮮の主張は基本的に各国に受け入れられている。

基調報告に聞きいる参加者

 そこで米国は朝鮮が会談の場に出てこられないよう、「北朝鮮人権法案」の発効や「乙支フォーカスレンズ」演習の強行など、従来の敵視政策をさらに強化した。

 さらに米軍の世界的軍備再編(トランスフォーメーション)の一環として、ソウル市にある龍山基地や軍事境界線付近に展開する第2歩兵師団を南部に移転することを発表した。同時にパトリオット・ミサイル部隊の増強やストライカー部隊、無人偵察機ステルスの新規派遣などハイテク兵器の投入を明らかにしている。

 第4回6者会談の成否は、朝鮮の参加、不参加の前に、米国が敵視政策を放棄するかどうかにかかっている。米国の対朝鮮敵視政策は6者会談合意や94年の米朝枠組み合意に反するもので、断じて許すことはできない。

 朝鮮半島の核問題は、次々と暴露された韓国での秘密核関連実験も含め、米朝両国を軸とした6者会談の場で、話し合いによって平和的に解決すべき問題だ。

南北関係の停滞は一時的なもの

 今年2月、南北朝鮮はソウルで第13回閣僚級会談を開き、@6者会談が成果ある会談となるよう努力する、A軍事当局者会談を早期に開催する、B南北縦断鉄道を来年から運転する、C開城工業地区の第1段階100万坪の開発を早期に進める、D第9回離散家族、親せきの再会事業を3月末に金剛山で行う、Eアテネオリンピックで同時入場行進をする、ことで合意した。この合意は夏までにほぼ実現した。

 6月には仁川で「わが民族大会」が行われた。同月、南北の警備艇が西海で初めて共通の無線機で交信したほか、軍事境界線一帯では双方が宣伝放送を中止した。

 ところが夏以降、韓国軍部が政府の方針に抵抗したり、「北の脅威」を煽る米軍の不確かな情報などにより、経済面を除き停滞局面に入った。

 しかし、この停滞は一時的に過ぎないと明言できる。この間、南北朝鮮が自主的平和統一に向けた基盤づくりをそれぞれの内部において着々と進めているからだ。

日朝国交交渉の早期再開を

 小泉首相は一昨年9月に続き今年5月22日にも金正日総書記と首脳会談を行った。

 帰国直後の5月28日には、総連第20回全体大会にメッセージを送り、「日朝正常化に最大限の努力を払う」と約束した。また、7月21日に済州道で行われた記者会見でも、「任期内の2年以内に、いや1年以内でも結構だ」と国交正常化に強い意欲を示した。

 しかし、その後開かれた日朝実務者協議で日本側は、拉致問題を前提条件とし国交交渉の再開を拒否してきた。

 その一方で、「北の脅威」を口実に自衛隊のイラク派遣、ミサイル防衛システムの導入、外為法改正案や特定船舶入港禁止特別措置法の成立など、「戦争のできる国づくり」を推し進めている。

 来年05年は日本の敗戦60年、朝鮮の分断60年という節目の年であると同時に、1905年の乙巳保護条約から100年という節目の年であり、日韓条約40年でもある。

 この節目の年に、南北統一と日朝国交正常化を実現するために今から準備を始めよう。また、これまでの運動を発展的に継続させよう。

 それこそが世界に唯一残された分断の地、東アジアに平和を実現するために日本が貢献できる唯一の道にほかならない。

 日朝国交正常化こそが、日本と朝鮮半島の平和実現に不可欠であり、東アジアの平和構築にとって重要であると訴え、より広範で、強固な日朝友好運動をつくりださなければならない。

(関連記事)

「日朝国交正常化交渉の早期再開を求めるアピール」

[朝鮮新報 2004.12.3]