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水ノ上・堺市議の民族教育差別発言 返答拒否、話し合いにも応じず

 大阪府の「堺市議会における民族差別発言をただす会」(以下「ただす会」)が、朝鮮学校における民族教育を否定する発言を行った水ノ上成彰・堺市議会議員(「北朝鮮に拉致された日本人を救出する大阪地方議員の会」副会長)に対し、その真意の説明を求め公開質問状を提出した問題で、水ノ上議員は返答と話し合いを拒んだだけでなく、悪意に満ちた記事を産経新聞に投稿するなど同胞、日本市民らの激しい怒りを買っている。

オープンな議論も否定

議員との面会後に行われた報告集会

 水ノ上議員は6月15日の堺市議会文教委員会で、「朝鮮初級学校で行われている教育は、北朝鮮の公民化教育であり…」「日本人の拉致を認め謝罪してから大幅に児童数が減り…」「日本の小学校に通ってくれれば、何も問題はないんですが…」などと発言した。

 発言を知った堺市在住の朝鮮学校学父母、同胞、日本市民らは、議員に発言の撤回と謝罪を求めるため9月に「ただす会」を結成。まずは「発言の真意についての説明を」と、民族教育や国際人権委の勧告などについての考えを問う4つの質問に文書で回答するよう求めた(10月7日)。

 これに対し水ノ上議員は10月18日、「ただす会」の小仲久雄代表(共同)に電話で、「『ただす会』の名前が威圧的である」「会の実体が明らかでない」などとしながら「糾弾するものに交渉する考えはない」として返答を拒否。「オープンな議論を」との提案にも否定的な構えを見せた。水ノ上議員が所属する会派、「プロジェクト堺」のメンバーら(ほかに三宅達也、杉本和幸議員)と話し合って決めたという。

丁寧な要請に「無礼だ」

 そればかりでなく、水ノ上議員は産経新聞の「アピール」欄(10月22日付)に記事を投稿。その中で「(公開質問状の)中身は人を誹謗中傷した上で質問に答えろという無礼なものだったので、答える理由はないと突っぱねた」などとし、関係者をあきれさせた。

 質問状には、「ただす会」代表らの名前が明記されており、議員らは面会時に名刺も受け取っている。賛同人も記されており、内訳は学父母をはじめとした総聯、民団の同胞や、現職市議、前府議などを含む日本人、堺市民など実体は明確だ。

 また、質問状の内容は「こちらはこう考えているが、議員の考えはどうか」という形式の丁寧なもの。面会もきちんと手順を踏んで行われたもので「ただす会」側は終始、低姿勢。何ら「威圧的」「無礼」なものではなかったはずだ。

 小仲代表は「市民には知る権利があり、議員には説明義務がある。公の場での発言に責任を取るべき」としながら、「堺市民として情けない」と述べた。

完全に論理すり替え

 さらに水ノ上議員は「アピール」記事の中で、「独裁者をたたえる教育を行う学校に日本国民の血税を補助金として支給する必要があるのか」などという挑発的な表現で、朝鮮、総聯批判まで行った。

 悪意に満ちた記事に同胞、学父母らの怒りは頂点に達している。

 総聯大阪・堺支部の鄭樹宏委員長は「根拠のない資料や記事を持ち出して、完全に論理をすり替えている。何ら圧力を加えていないのに悪質すぎる。ここまでされると、朝鮮人として生きることを否定されているように聞こえる」と怒りを露にした。

 堺市在住の朝鮮学校父母会の会長でもある「ただす会」の金京東代表は「子どもたちに民族教育を受けさせるのは当然の権利。一市民としての義務を果たしているのだから、補助金などの支給を受ける権利もある。議員は市民の要請に誠実に答えるべきだ」と述べた。

 「アピール」記事の主張の根拠は、産経新聞などによる他力本願的なものであり、水ノ上議員のホームページに掲載されている資料には、でっち上げによるものもある。つまり、「自分で見て確かめたことがないのだろう。何も知らないから議論することもできない」(堺市在住の同胞)。

八尾市議会でも侮辱発言

 「過去の歴史を正しく認識していないようだ。だから民族教育についても理解できていない」(小仲代表)。

 各地の自治体の議会などでも、補助金の支給に関する議論の中で、民族教育を否定する発言をする議員が現れている。

 大阪府八尾市の文教産業常任委員会(3月)では、ある議員が民族教育を侮辱する発言を行った。

 その議員は、朝鮮学校に補助金を支給していることを問題にした中で、朝鮮学校では反日教育が行われていたなどと発言した。

 朝・日平壌宣言から2年以上経った今も、国交正常化をはばかり、歴史を逆行させようとする者が少なくないようだ。

 10月7日の面会時に水ノ上議員らは、「ビラまきはするのか」などと懸念していたが、議員らに配慮し、それを控えてきた「ただす会」側は今後、水ノ上議員が説明責任を果たすよう促がすことを市議会議長に要請し、他の議員や市役所職員を含む堺市民らにも訴えかけていくという。

[朝鮮新報 2004.12.2]