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「伊豆路の朝鮮文化を訪ねる旅」 古にならって朝・日友好を

 「伊豆路の朝鮮文化を訪ねる旅」(主催=同実行委員会)が10月23日に行われ、約40人の同胞、日本人らが参加した。台風23号の影響で、当初予定していたすべてのコースを回ることはできなかったが、高句麗、百済、新羅など古代朝鮮三国から伝来した仏教と、温泉の深い関わりを「いで湯の国−伊豆」で実際に見て聞いた参加者らは、「とても勉強になった」と満足げだった。

古代、近代の関係史たどる

浄蓮の滝で記念撮影

 一行が最初に訪れたのは、熱海市にある日本3大古泉の走り湯温泉。奈良時代、修験道の開祖である役小角が発見したと伝えられる横穴式、噴流の温泉源で、いわゆる「温泉」とはイメージの違うことに、参加者たちは一様に目を丸くしていた。

 走り湯温泉を後にした一行は、次に丹那トンネルへと向かった。全長7.8キロの同トンネルは、1918年に着工し、1934年に竣工した。当時、工事には多くの朝鮮人労働者が従事しており、落盤や感電などによる事故が後を絶たなかった。

 トンネル入口の上部には「丹那トンネル工事殉職碑」が建てられており、同胞の名前も刻まれている。しかし、名前さえ刻まれず今も地下に眠る同胞が多く、一行は無念のうちにこの世を去った同胞たちを追悼した。

丹那トンネル工事殉職碑

 昼食をはさんだあと、一行は田方郡天城湯ヶ島町の善名寺を訪れた。奈良時代の百済系氏族の子孫である行基大僧正が建立したといわれる善名寺は、奈良時代後期には七堂伽藍の大寺であったという。

 一行は、講師を務めた歴史学者で文芸評論家の朴春日さんの説明に熱心に聞き入りながら、古に思いを馳せた。

 その後、浄蓮の滝を参観した一行は、最後の目的地である田方郡韮山町の願成就院を見て周り、温泉で一日の汗を流し帰路に着いた。

殉職者の中には多くの同胞も含まれる

 「旅」の参加者らは、一様に「素直に楽しめた」と口をそろえた。

 01年12月に「BS朝日スペシャル」で放映された朝鮮シルクロードの旅のドキュメンタリー番組で実際に撮影を行った真鍋燕次郎さん((株)ヴァネックス プロデューサー、カメラマン)は、「今回初めて参加した。今まで知らなかったことが多く、勉強になったのでとても楽しい一日だった。次も参加したい」と語った。

 日朝学術交流協会事務局の山辺健夫さんは、「強制連行などの負の歴史は、日朝友好の長い歴史から見ればほんの1コマかもしれないが、決して無視してはいけない。日朝関係史に対する正しい理解を広めるために努力したい」と感想を述べた。

講師、朴春日さんの説明に耳を傾ける参加者ら

 朴春日さんは、聖徳太子が死去したという知らせに、「我、国は異ならども心は断金の如し」と言った高句麗の僧・慧慈の言葉を引きながら、「私たちも古の人に習い、朝・日友好のために共にがんばっていこう」と締めくくった。

 日朝友好資料センター事務局長の唐笠文男さんは、「90年10月に始まったこの『旅』も来年で15周年を迎える。来年は15周年にふさわしい企画になるよう今から準備を進めていきたい」と語った。(李松鶴記者)

[朝鮮新報 2004.10.30]