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〈参加者たちの報告から〉 「慰安婦」問題−「真相究明が過去克服に」

 真相とは「健全な社会的浄化の方法をもたらし、過去の再発を防止する」(国連・人権委員会報告書)と言われている。日本の現状は、過去の真相を明らかにすることが望まれている。

 「新しい歴史教科書を作る会」の教科書から「慰安婦」問題が削除された。この原因は真相究明を怠っているからだ。国立公文書館には、43万冊もの資料が保管されているが、このうち公開されているのはわずか35%の15万冊である。

 自治省には戦前、戦中の警察・朝鮮総督府などを管轄した旧内務省の資料が放置され、その資料を積み上げると2万メートルにもなる。そのほか警察庁、防衛庁、外務省などにも大量の未公開資料があり、正式な公開はなされていない。

 こうした限定的な状況であるが調査団は、「慰安婦」は「強制連行ではない」との主張を覆す資料を発見した。

 1932年、長崎県の女性を「カフエーで働くいい仕事」と「だまして」中国上海の日本軍「慰安所」に連れて行った日本人斡旋業者に、刑法に基づき「有罪」とした最高裁判決(大審院1937年)を発見公表した。

 当時、国際的にも日本の国内法でも「強制」とは肉体的、精神的強制が含まれていたのである。

 強制連行の結果、多くの朝鮮人が亡くなったがその遺骨は、日本国内に半世紀以上も放置されている。

 東京の「祐天寺」には、現在も1000体以上の遺骨が残されている。このうち確認されただけで、約350体は現在の朝鮮民主主義人民共和国出身の被害者である。ところが日本政府は、遺族への連絡も、その名簿すら公開を拒否する一方で、日本人「拉致」問題のみを主張している。この問題は、賠償、補償以前の人道的な問題である。(洪祥進、朝鮮人強制連行真相調査団事務局長)

[朝鮮新報 2004.10.23]