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28日・岡山、9月2、3日・東京で劇団民藝公演「千鳥ヶ淵へ行きましたか」上演

 劇団民藝公演・石川逸子詩集「千鳥ヶ淵へ行きましたか」の上演が10年目を迎える。28日岡山、9月2日、3日は東京で行われる公演には、入江杏子、岩崎ちえ、披岸喜美子、久保まづるか、白石珠江、長慶子(客演)、松田典子(客演)ほか、元法政大教授の田嶋陽子さん(客演)が出演。

 作品は、千鳥ヶ淵戦没者墓苑(東京都千代田区)に眠る32万余人の慟哭を表している。

 千鳥ヶ淵戦没者墓苑には、中日戦争からアジア・太平洋戦争にかけて、海外での軍人、軍属、戦闘に巻き込まれた一般人の戦没者40万人の遺骨のうち、政府等が遺族に渡せなかった349、837体(2003年5月現在)が眠っている。

 演出家の渾大防一枝さんは、「敗戦50年目の95年に、あの戦争を被害、加害の両面から見据えて、改めて戦争と平和を問い直してみようと上演した。しかし、50年経っても戦争の後始末をつけていない日本は、今、再び銃後となってしまった」と語った。

 詩は、かつて戦場だった地に打ち捨てられていた32万1632体の元人間だった「名のない」骨をこう詠っている。

 名がなければ/一枚の赤紙で狩られることもなかったろう/名があったから/父を失い弟妹を養う長男でも/田の草を取りかけていても フランス語を学びはじめていても/容赦なく 兵にされたのだ//大君にとって 国にとって/生きてる間はなにがなんでも必要で/骨になったら 名も求められない/かなしい あなたたちよ

 「鍬の代わりに銃を持たされ、よその国へ攻め込んで行って殺戮を行う。日本は原爆を落とされて、被害者であることばかりを強調するが、加害者でもあったことを忘れてはならない」

 10年の重みを背負って行われる今回の公演をもって、自主上演はひとまず幕引きということになる。

 「出演者たちもこの10年間で作品に対する思いがさらに深まったと思う。一度観た人も、戦争というものをじっくり考えたこともないような若い人たちにもぜひ見てもらいたい」(渾大防さん)

●岡山公演=8月28日(土)15時/19時開演。早島町町民総合会館「ゆるびの舎」。一般2500円、中高生1000円(全席自由)。(金潤順記者)

●東京公演=9月2日(木)19時、3日(金)14時開演。北とぴあ・つつじホール。当日3500円(前売り3000円)、学生2000円(日時指定、全席自由)。

 問い合わせ=劇団民藝TEL 044・987・7711。電子チケットぴあTEL 0570・02・9988、0570・02・9999。

[朝鮮新報 2004.8.13]