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NHK裁判、控訴審第1回口頭弁論報告集会、歴史的事実の黙殺許されない

西野瑠美子さん

 「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW−NETジャパン、共同代表=西野瑠美子)が、NHKが01年1月に放映した「女性国際戦犯法廷」に関する番組で異常な改ざんを行ったとして、放送、製作に関わったNHK、NHKエンタープライズ21(NEP)、ドキュメンタリー・ジャパン(DJ)を相手取り起こした控訴審第1回口頭弁論が7月28日、東京高裁812号法廷で行われた。控訴は、去る3月24日に言い渡された地裁判決でDJのみに責任を問い、NHKの改編行為については「編集の自由の範囲内」としてNHKの責任を否認したことに対するもの。

 同日夕方、東京都文京区民センターで報告集会が開かれた。

 集会では、NHK裁判弁護団・大沼和子弁護士による報告ほか、西野瑠美子、東海林路得子さんによる原告報告が行われた。

7月28日に、NHK裁判の報告集会が開かれた

 大沼弁護士は、「本件番組の製作行為は、3者の合同企画に基づいて、DJがVAWW−NETに取材を行い、そのうえで3者は合同で編集行為を行い、最終的にNHKが番組を放映するというもの」と説明し、取材に協力したVAWW−NETの信頼を裏切ったのはNHKおよびNEPをも含む編集および放送行為であり、両者の責任を否定した原判決は誤りであると指摘した。

 東海林さんは、「私が2000年10月24日に見た番組提案表はDJの担当者が持ってきたとはいえ、そこにはNEPのサインがあり、放映の期日とNHKの番組の名前も明記されていた」と話し、番組では「人道に対する罪」をどう裁いたかなど女性国際戦犯法廷の肝心な部分が省かれており、放映後のショックは計り知れなかった。また、「慰安婦」の存在を否定する解説を入れたことで被害女性たちの名誉と尊厳を再び傷つけ、主催団体であるVAWW−NETジャパンの名前を消したことで女性国際戦犯法廷に関わったすべての人を傷つけたと語った。

 西野さんは、「女性国際戦犯法廷」の主催団体である国際実行委員会の3人の共同代表の1人として、同委員会を構成する団体の1つであるVAWW−NETジャパンの代表として、原告であった故・松井やよりさん個人が被った損害について述べた。「弱者の立場に立って真実を報道することを使命としてきたジャーナリストである松井さんにとって、製作現場の言論の自由が絶対的な権限としての『編集の自由』の名の下に侵され、女性国際戦犯法廷が『なきもの』にされたということは、暴力的行為による回復しがたい行為であった」「女性国際戦犯法廷は松井さんにとって生きた証しであり、人生の誇りだった。だからこそ被害者にとって正義の実現の場であった法廷を踏みにじるかのようなわけのわからない番組が放送されたことは耐えがたい衝撃だった」。

 次回裁判は、10月27日に行われる。

[朝鮮新報 2004.8.4]