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東京同胞飲食業協議会主催近江牛産直即売会、在日独自の流通を

 東京同胞飲食業協議会主催の近江牛産直即売会が12日、東京都台東区の朝鮮商工会館で行われ、関東地方の焼肉業者約40社が訪れた。日本3大ブランド牛の1つである近江牛を特別に中間マージンを廃し、通常より安い価格で提供しようというもの。今回はコストダウンの有効な手段である牛を一頭使いこなす入り口として、各部位の使い方を実演で説明する講習会も行われた。(c)

 昨年、アメリカでBSEにかかった牛が発見されたことにより、現在日本への米国産牛の輸入はストップしている。即売会はそれにともなう仕入れ値の高騰、材料不足現象を解消しようとの目的で行われた。

 今回、近江牛を提供したのは滋賀県の(株)ティーアールエージャパン。主に1頭丸ごとの牛を扱い販売している畜産業者だ。販売された肉は1頭単位と半頭単位、部位は肩ロース、黒毛和牛のパーツ、ロース、バラなどが用意された。

 各単位のセット単価は1キロ3300円〜3800円で、近江牛1頭は約100万〜130万、半頭で約50万〜65万円。

 冷凍車から運び出された肉が会場に展示されると、参加者らはさっそく品定めに入った。

 講習会では、肉の切り方の実演と焼肉で使える部位の説明が行われた。

 「1頭で買った方が原価は安い」。正泰苑(東京都荒川区)オーナーの金日秀氏は言う。

 「1頭そのまま仕入れて、各部位を切って使う術があるという事を認識できたはず。中間マージンのない質のいい肉を安く仕入れるのは一つの手だ。店によってコンセプトや使う肉も当然違ってくるが、流通の面で『在日』独自の流れを作れればおもしろい」

 今回、後援したのは在日本朝鮮東京都商工会。同商工会商工部の高光賢副部長は、「業者と直接やり取りをすることで、多くの同胞焼肉業者にメリットを提供できれば。今後もこのような機会を増やしていきたい」と語っていた。

 (株)ティーアールエージャパン代表取締役の徳島りつ子さんは、「東京の同胞焼肉店はやる気のある方々ばかりで、とても力がありますね」と話す。

 今年の5月に初めて行った講習会。その時、徳島さんは同胞店のコンセプトを把握し規模を見て回った。小さな店でもこだわりを持ってやっていることにとても感銘を受けたという。

 「自分たちのメリットや利益も大事だが、何よりも仕入れで苦しむ店に少しでもいい物を提供して応援したいという気持ちが強い。 

 在日の方たちは、少しでも安いと見ればすぐに買う人が多いがそれではもったいない。講習会を催して、流通の仕組みや原価の知識を知ってもらって買ってもらった方がいい。各店舗に仕入れと管理の事をしっかり知ってもらうことでいい部分を共有できればいいですね」

 参加者らの反響も上々だった。

 横須賀にある味楽苑店長の殷鐘浩さん(43)は、「肉の知識を得るうえでとても参考になった。仕入れに対する考え方や選択肢が増えた」と語った。

 横浜で焼肉チェーンを展開するニュールック株式会社取締役の金重徳さん(31)も、「ほしい肉が安く手に入らない現状でこのような催しはとても助かる。同胞業者同士、知識を共有していきたいし、今後もどんどんやってほしい」と今後の開催に期待を寄せていた。

「シクタン」会員募集

 東京同胞飲食業協議会は名を「シクタン」と称しイベント、海外ツアー、ワークショップなど店の開店、運営などの充実した活動を展開する予定。4月には朝鮮料理家の金純子さんを招いて朝鮮料理講習会を開催した。会員らには本場ソウルのツアー、オリジナルメニュー表の作成、4月に創刊した会員情報誌「焼肉番長」の提供などを行っている。会員を随時募集している。問い合わせ=(TEL 03・3842・6716)

[朝鮮新報 2004.7.20]