日朝国民協会緊急集会詳報 |
既報のように、日朝国交促進国民協会(会長、村山富市元総理)の主催で11日、緊急集会として「討論『首相再訪朝をどうみるか』 報告『龍川爆発事故地の現在』」が東京都千代田区の日本教育会館で行われた。集会では、小泉総理の再訪朝と朝・日首脳会談をテーマに、自民、民主、共産、社民各党の衆議院議員らと3人の学者がそれぞれ発言した。また、集会に招かれた許宗萬総連中央責任副議長が来賓のあいさつで、総連の見解などについて述べた。以下、集会の詳報を紹介する。(まとめ、姜イルク記者) 「大きな成果」「歓迎」、自共社の各党議員ら 集会ではまず、各党の衆議院議員らが発言した。 自民党の園田博之議員は、「小泉総理の訪朝結果には批判もあるが、冷静に考えるべきだ」「両国の首脳が話し合い、国交正常化に向けて、いろいろな問題を解決していくことを確認したという意味において一歩前進した」と指摘しながら、「総括的に、小泉総理の再訪朝により、両国の関係が進む気配を見せた。たいへん大きな成果だ。高く評価したい」と強調した。また、日朝友好議員連盟事務局長の立場から、「議員連盟はたいへんな状況だが、これから活動を進めていきたい」と付け加えた。 民主党の首藤信彦議員は、個人の見解だと前提したうえで、「首脳会談の開催は評価している。とにかく話し合わなければならない」としながらも、「成果は小さかった」と述べた。 一方、共産党の赤嶺政賢議員は、「今回の首脳会談が国交正常化交渉につながるという意味で歓迎する」と述べ、「(拉致問題の)再調査の約束をしたことは一歩前進。一挙に全ての問題が解決されるわけではない」とし、理解を示した。 社民党の照屋寛徳議員は、「日朝平壌宣言を履行して国交回復につなげることを確認したのは大きく評価されて良い」「拉致問題で批判はあるが、調査の再開を約束したので前進と判断する」と述べた。また、国交回復をどのように行うかが重要だとしながら、「宣言を誠実に履行し、日本側は朝鮮に対する植民地支配を真摯に反省し、それに対する償いをきちんとしなければならない」と指摘した。 許宗萬責任副議長が3点で評価 各党議員らの発言後、許宗萬責任副議長が来賓のあいさつをした。 責任副議長はまず、5月29日から6月2日まで訪朝した龍川爆発事故被災者救援市民連絡会の代表3人が直接被災地に赴き、支援物資を伝達し、被災民を励ましてくれたことについて謝意を表した。 続いて、小泉総理の英断によって平壌で朝・日首脳会談が開かれたことを歓迎していると述べ、@両国間、とくに首脳同士の信頼を回復、A両国関係を改善しなければならないということを確認、Bアジアと世界の平和と安定を促進するものと評価した。 また、これまで苦労をしながら朝・日間の土台を築いた諸政党、政治家、朝・日友好団体の関係者の貴重な努力を忘れることなく、大事にしていきたいと語った。 さらに、国交正常化の道筋に沿って大局的な流れが出来たと言えるが、これを快く思わない人々がこの流れにブレーキをかけようとする動きもあり、今後もう余曲折が予想されると指摘しながらも、「今の流れは両国民の念願であり利益に合致すると確信している」「政治家だけでなくすべての人々が大局的な立場に立ち、両国関係の正常化と東北アジアの平和と安定のために努力してほしい」と訴えた。 「条件整った国交正常化」、討論で小此木慶応大学教授ら指摘
集会では討論「首相再訪朝をどうみるか」が山室英男元NHK解説委員長の司会のもと行われ、小此木政夫慶応大学教授、小牧輝夫国士舘大学教授、和田春樹東京大学名誉教授が討論した。 小此木教授は、小泉首相の今回の訪朝は「平壌宣言の精神に戻って中断されている日朝交渉を再開しようというもの。すなわちリセットして再スタートしようということだった」と指摘。また、「全体の評価として、核問題など国際状況が重要な局面に差し掛かったとき、日朝交渉はこれと平行して行わなければならないので、訪朝は大きく評価されて良い。個々の問題ではいろいろと批判もあるが、(70%が支持した)世論は訪朝の意義を正確に捉えている」と語った。 小牧教授は、「平壌宣言を日朝関係の基礎となるということを確認したことが大きい。国交正常化の条件は整った」と評価した。また、5人の家族の問題だけなら総理が行く必要はなかったという意見があることに対し、「宣言の精神に戻ることは、総理でないとできない、ということを強調したい」と述べた。 和田名誉教授は、「小泉総理は平壌宣言発表後、世論に押されて宣言の精神から後退したが、今回、約束を遵守していくという姿勢を示し、拉致家族会の前でも国益に合うと強調した」「小泉総理の訪朝を全面的に支持している」と表明した。 集会主催団体の国民協会事務局長でもある和田名誉教授は、閉会の辞で、「状況が後戻りしないよう、2002年9月以後のてつを踏まないようにしなければならない」と強調した。 [朝鮮新報 2004.6.17] |