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〈訪朝インタビュー〉 森山一正・大阪府議会議長

 森山一正大阪府議会議長(日朝友好促進大阪府議会議員連盟副会長)を団長とする「地方から国交正常化を考える府民訪朝団」が5〜8日にかけて訪朝し、朝鮮対外文化連絡協会、平壌市人民委員会、南浦市人民委員会、朝・日友好親善協会などと交流した。メンバーは森山議長のほか、三田勝久大阪府議会議員、水嶋勇共同通信記者の3人。金政義総連大阪府本部国際部長が随行した。森山議長は、一連の意見交換を通して早期に両国間の友好親善関係を築いていくためには、話し合い、見聞することがいかに大切であるかということをあらためて痛感したという。また、4月22日に起きた龍川駅爆発事故に対して、朝鮮対外文化連絡協会の洪善玉副委員長に義援金を伝達した。洪副委員長は、確実に迅速に現地に届けると話し、心からの謝意を表明した。「今回の訪朝は、地域からの友好親善活動を踏まえた、国交正常化への大きな一歩といえる」(金国際部長)。森山議長に訪朝の目的、印象などについて聞いた。

今回の目的は

森山一正、大阪府議会議長

 1992年に日朝友好促進大阪府議会議員連盟の一員として訪問した。在日朝鮮人の方々との長年の付き合いもあって再訪朝を考えていたが、拉致問題や核問題、マスコミのネガティブキャンペーンなどによって日朝関係が複雑な状況におかれ、なかなか実現できなかった。

 昨年の議長就任を機に、あらためて在任中に訪朝したいと強く思っていた。

 きわめて厳しい日朝関係の影響を受けて総会を開けないなど、府の日朝議連の活動にも支障をきたしている。副会長として、黙って見過ごすわけにはいかなかった。

 最も、多くの在日コリアンが暮らす大阪という地でこのような状態なのだから、他の地方はもっと厳しいかもしれない。日朝関係の先行きがとても心配だということを朝鮮の関係者に直接、率直に伝えるとともに、地方からの視点で現状を述べ意見交換ができることを望んだ。それが相互理解と交流につながり、困難な状況を打開する手助けになるのではと考えたからだ。

 また12年前に訪れた、朝鮮西海で最大の貿易港を有する南浦市がどのような変貌を遂げているのか、見てみたいとも思った。

厳しい状況下だが。

 日朝間の情勢が厳しい状況にあり、朝鮮では龍川駅爆発事故が起きるなど、厳しい状況下で訪朝が実現するのか、本当に行ってもいいものかと心配もしたが、むずかしい時期だからこそ直接会って話し合い、励まし、助け合わなければと思った。観光目的ではなく、国交正常化に向けての意見交換をするために訪朝したいのだということを朝鮮側に何度も伝え、理解を得てやっと実現した。

12年ぶりの印象は

 ホテルの従業員などの接待の変わりようには驚いた。12年前は慣れていないせいかぎこちなさもあったが、今回はそういうことは一切なく、自然にふるまっていた。

 当然のことだが、建物や車も増え、街並みも全般的に整備されており、発展のほどが窺えた。

 街は活気にあふれ、道端にはいろいろな店が建ち並び、品物も増えていた。まだ厳しい状況にあるとは思うが、そんな中でも人々はその状況にあくせくしているでもなく、生き生きとして見えた。

どういう意見交換をしたのか。

 情勢の複雑さに伴い、最近は日朝間の人的交流が減少している。今回、対文協などとの懇談を通じて、互いに相手を誤解している部分があり、それが解消できずに悪循環して、双方の間に自然と壁を作っていたことをあらためて認識した。

朝・日友好親善協会との懇談

 私は、日本人すべてが朝鮮に敵対心を持っているわけではなく、真の友好を築こうと強く願っている人がたくさんいると伝えた。

 大阪の実情についても説明した。

 大阪府に住む21万人の外国人のうち15万人は在日コリアンだ。全都道府県の中で最も多い。

 今まで私たちは、大阪の在日朝鮮人の方々と協力して日朝友好親善のために尽力してきた。民族教育を積極的に支援し、学校教育事業や文化行事にもそのつど参加し、昨年全国大会出場を成し遂げた大阪朝高ラグビー部を激励したりもした。教育、文化、スポーツなどさまざまな分野で力を合わせて行ってきたことは数多い。大阪での日朝関係は「近くて近い関係」にあると言える。

 しかし、国家間ではこう着状態が続いている。国と国が現状を打開できず平行線をたどっているようでは、大阪や他の地方で積み上げてきたこれまでの友好関係が途絶えてしまうかもしれない。手と手を取り合って両国が仲良くすれば、地方レベルでの交流関係をもっと活発化させられるのではと伝えた。

朝鮮側の反応はどうだったか。

 朝鮮側は真剣に耳を傾けてくれ、これからも友好親善のためにともにがんばっていこう、日本での活躍を期待すると述べていた。

 お互いが理解し、親ぼくを深めるためには、直接会って話さないとなんにもならない。
 問題解決の第一歩は会って話すこと。むずかしい時期だからこそ、勇気をふりしぼって互いに行き来するべきだ。

今回、得たものは?

 今回の訪朝を通じて、「訪問し、互いに話し合い、見聞すること」がいかに大切であるかということをあらためて痛感した。

 目に見える成果が早急に現れるとは思わないが、意見交換を重ねることによって、よい方向に向かっていくと思う。

 とりとめのない話でも構わない。その積み重ねが、国交正常化に向けて、よい結果につながっていくと信じている。(まとめ=崔良先記者)

[朝鮮新報 2004.5.18]