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「北朝鮮・寧辺原子力研究センター」訪問に関する米上院外交委員会公聴会報告(2)

 つまり、私が信ずるに、朝鮮は2002年12月以降、重要な意味を持つ行動をとってきたことを明らかにし、彼らの持つ核能力を印象づけるために寧辺原子力研究センターを我々に見せたかったのだ。センターの指導部と専門家たちは我々に見せられるギリギリの範囲内ではとても協力的だった。それでもやはり、朝鮮の高官たちは私たちの訪問に関して留保するところもあったし、訪問に伴うリスクについて認めていた。

私の朝鮮訪問の動機

 私は、ルイス教授から今回の訪朝に同行してほしいとの誘いを承諾した決意について朝鮮側に説明した。もともと、朝鮮の核計画と結びつけられたあいまいな点に懸念を感じていた。私は、そのあいまいな点のいくつかは意図的に作られたものではないかと考える。しかし、あいまいさは時に誤算をまねき、核兵器に絡んだ問題の場合はそういう誤算が災難を引き起こすこともありうる。だから私は、一科学者として寧辺原子力研究センターを訪ねることで朝鮮の核の状況に関していくつかのことをはっきりさせるのに役立ちたいと思ったのだ。

 私はまた、外交プロセスで科学者(技術者も)の役割はとても重要だということをはっきりと述べた。重要な役割は3つある。1つ目は核危機の外交的解決を手助けするためにこの問題を明確にすることである。2つ目は、外交的解決策が見つかった場合、科学者たちは、それがどのような解決策−例えば凍結や最終的非核化−であれ、その履行を手伝わなくてはならない。3つ目は、科学者たちはどんな解決であろうと、その立証を助けるうえで決定的な役割を担っている。したがって私は、今回の訪問がこの方向で小さな一歩になることを望んでいる。

寧辺原子力研究センター訪問の実務業務

 2004年1月8日(木)、我々5人は全員で寧辺のセンターを訪れた。李根大使、原子力総局の役人、そして護衛団が我々に同行した。原子力研究センターのリ・ホンソプ所長が我々を出迎えてくれた。同センターは原子力統局の監督下にある。前置きとしてのブリーフィングにはまた、チェ・キルマン副所長、リ・ヨンホ警備課長、キム・ヘクスン首席研究員、パク・チャンス研究員らが加わった。

 李所長が、以下の施設を案内してくれた。

 ・実験用原子力発電所(5メガワット原子炉)。我々が案内されたのは、その制御室と原子炉ホールの監視エリア。この施設は寧辺施設の第1警護区域の中にある。リ・ソンファン技師長が案内役を務めた。

 ・5メガワット原子炉の隣にある使用済み燃料貯蔵プールビル。同じく、リ技師長が案内。

 ・車で50メガワット原子炉用地を(2度)通過。第2警護区域にある。

 ・放射化学実験室−遮蔽窓を通してホットセル・オペレーションを見ることができる3階の通路と会議室(同施設もまた第2警護区域内にある)。案内はリ・ヨンソン技師長。

 ・施設指導部との冒頭総括討議のための招待所。

訪問による視察結果

 各施設で聞いたもの(イタリック体)と、観察に基づく私の意見(普通の字体)を要約する。

 5メガワット原子炉−彼らは実験用の原子力発電所(5メガワット原子炉)だけを再稼動させたと強調した。発電所は2003年2月に再稼動された。現在100%、定格火力によってスムーズに稼動している。彼らは町に送るために原子炉で電気と熱を生産している。現在、年間1万トン(「枠組み合意」に明記された50万トンの一部)の重油供給が止められている町にとって、原子炉が主な熱源になっている。

 我々は、5メガワット原子炉が現在稼動していることを確認した。制御室と原子炉ホールを見せられた。制御室のディスプレイの表示はすべて、原子炉が現在スムーズに稼動していることを示している。それは、冷却塔から吹き出る蒸気からも確認できた。しかし、昨年中どの程度正常に稼動したかを独自に査定する術は我々にはない。

 原子炉が現在の燃料量で稼動すると見込まれる期間は、米国との状況がどう展開するかにかかっている。彼らは長い間、原子炉を稼動させる安全上の懸念を持っていなかった。彼らは、以前に経験した操業上のいくつかの問題は、解決されたと強調した。しかし、彼らはいつでも現在の燃料を再処理する用意ができている。

 我々は、彼らが電気と熱を生産しているのに加え、新しいプルトニウムも製造していることについて意見を述べた。最良の見積もりでは、今の原子炉の稼動で使用済み燃料の中から毎年大体6キログラムのプルトニウムが作られている。原子炉は使用済み燃料棒に約6キログラムのプルトニウムを含んでいるかもしれない。したがって、原子炉が能率的に作動しているとすれば、これに加えて毎年6キログラムの製造が続くことになる。

 彼らは、現在製造された原子炉のための、もう1つの燃料を管理していると明言した。燃料製造施設の一部は運転可能であり、一部は整備中である。彼らはそれ以上の燃料を作るのを急いでいない。なぜなら建設中のもっと大きい2つの原子炉がまだ稼動するまでには至っていないからである。

 我々は燃料製造施設を訪問する機会を持てなかった。しかし、それらのコメントは以前の米国の見解と一致する。過年度に、燃料製造集合施設は1年に約100トンのウランを含む燃料要素を作っていると報道されていた。その集合施設は、建設中だった50メガワット原子炉の炉心の初期装荷に十分な燃料を製造したと信じられている。また、呼び容量ははっきり感じ取れるほど、より大きかった。

 50メガワット原子炉−彼らは50メガワット原子炉の建設は1994年に止まったと言った。彼らは当時、1年以内に完工するはずだったと強調していた。それ以来何もなされていない。彼らは現在のところ、その原子炉で何をするのかを検討している。

 我々は50メガワット原子炉のある場所を2度車で通り過ぎた。我々はそこではなんの建設活動も行われていないことを確認した。現場には建設用クレーンは無かった。原子炉ビルは極めてひどい修理中の状態のように思われる。そのコンクリートでできた建造物には亀裂が入っていた。鉄製の排気タワーは他の鋼鉄の設備と同様、ひどく腐食していた。そのビルは閉鎖されてはいないが、さびれた建造物のようだった。原子力研究センター所長は8年間の凍結により施設が悪化したことに対してひどく落胆していると述べた。この原子炉は、完成に今から1年以上かかる。現在の構築物をどのくらい回復できるかははっきりしない。

 テチョンの200メガワット原子炉(寧辺から約20キロメートルの場所に位置する)−彼らはここも1994年に建設がストップしたと述べた。この原子炉についても今後どうするかを現在検討中である。

 本原子炉は別の場所に位置しているため、現在の状況を判断することはできなかった。(シーグフリード・S・ヘッカー、カリフォルニア大学ロス・アラモス国立研究所首席研究員)(翻訳、まとめ=姜奈於記者)

[朝鮮新報 2004.4.26]