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神奈川県内の朝鮮学校入学式に今年も日本人の「応援隊」

 「チュッカヘヨ!」「入学おめでとう!」。朝鮮語と日本語で書かれたオレンジ色の幟を手にした日本人ボランティアたちが新入生たちに温かい声援を送る。1日(川崎初中、鶴見初、南武初)と5日(神奈川初中高)に行われた神奈川県内4校の朝鮮学校入学式。昨年に続き「朝鮮学校入学おめでとう応援隊」が駆けつけ、新入生たちを祝福した。

79人のボランティア

79人がボランティアで参加した「応援隊」

 「応援隊」は今年、4校の入学式に学生、教員、市民ら79人が駆けつけた。それぞれ幟を掲げ、新入生たちに祝いの言葉をかける。在校生たちの温かい拍手と「応援隊」の励ましに、少々緊張気味の新入生たちもにっこり。父母らも安心した様子だった。

 一昨年9月の朝・日首脳会談以降、朝鮮学校や生徒たちに対する脅迫、暴言、暴行、嫌がらせなどの行為が頻発。朝鮮学校に通う子どもたちの不安を少しでも和らげ、新入生たちが笑顔で新生活をスタートできるようにと、神奈川県のNPO団体をはじめとする日本市民らが企画した。昨年は「応援隊」だけでなく、駅などの集合場所で登校時に児童を見守り安全を確保する「見守り隊」も派遣したが、「昨年に比べて露骨な嫌がらせが少ないので、子どもたちを静かに見守ってほしい」との学校側の要請もあって、今年は入学式のみの「応援」となった。

 鶴見初級に入学した鄭輝樹君のオモニ、姜由紀さん(35)は、「同胞社会を取り巻く状況は複雑だが、息子がのびのびとおおらかに育ってほしいと願い、朝鮮学校に入学させることを決めた。多くの人たちの温かい愛情に包まれて友達を大切にし、すくすくと育ってくれれば」と願う。アボジの鄭堅垣さん(33)も、「私は日本学校出身だし、在日朝鮮人を取り巻く環境も決して良いとは言えず、子どもを朝鮮学校に入れることには迷いがあった。地域の日本の人たちが、子どもたちの入学を祝い応援してくれるのは大変励みになる」と話していた。

それぞれの思い

少し緊張気味のピカピカの1年生

 折りしも「特定船舶入港禁止法案」の国会提出など、朝鮮に対する日本当局の敵視政策が露骨さを増している中で迎えた入学式。「神奈川県外国人登録法の抜本的改正を求める連絡会」の登家勝也さんは、「こんな時代だからこそ市民レベルでの交流や連帯が必要」と熱く語った。

 ホームページを見て参加したという日本語教師の後藤優子さんは、「『多文化共生』を目指す社会の一員として、民族、国籍の違いを超えて誰もが自由に楽しく学べる環境は守られるべきだ。子どもたちには、希望に満ちた新しい門出を迎えてほしい」という。

 潮田中学校教員の梅田玲子さんは、「わが校にもさまざまなルーツを持つ子どもたちがいる。その子どもたちが日本で胸を張って生きられる社会作りが大切」だと話す。

 また、この春同校を卒業したばかりの小野美那子さんは、「朝鮮学校の生徒に対する嫌がらせがあると聞いてとても悲しかった。今日は新入生たちに喜んでもらえたのが何よりもうれしい」。

 川崎朝鮮初中級学校の金正成校長は、「『応援隊』の方々の好意をうれしく受け止め、民族教育をより発展させていきたい」と語っていた。(金潤順記者)                    

[朝鮮新報 2004.4.8]