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対朝鮮経済制裁を憂慮する日朝青年学生緊急集会の発言から

対朝鮮経済制裁に反対する集会に参加した朝・日の学生たち

 「対朝鮮経済制裁を憂慮する日朝青年学生緊急集会」(主催=日朝国交正常化を求める青年学生連絡会)が12日、東京永田町の衆議院第1議員会館で行われた。「改正外為法」「特定船舶入港禁止法案」など、朝鮮に対する経済制裁に反対する朝鮮大学校学生、日本の大学に通う同胞学生、日本の大学生、関係者ら170余人が参加した。集会では連絡会代表の報告、朝鮮大学校任京河教員の講演、8人のリレートークが行われ、集会の最後に「特定船舶入港禁止法案」に反対するアピール文が採択された。リレートークでの発言を紹介する。

 2000年から、主に粉ミルクの支援を行ってきた。日本政府は00年まで行ってきた余剰米の寄付を排外主義的な国民世論と外交上の駆け引きのため中断している。現在は、人道支援団体や在日朝鮮、韓国人団体などが支援を続けている。今回の法案は、こうした民間次元での支援すら困難にするもので、朝鮮との政治的緊張を高めるだけだ。法案の廃止を求める。(上野さとし、北朝鮮人道支援ネットワーク「ハンクネット」代表)

 今回の法案は朝鮮に圧力を加えるものだ。拉致問題は拉致問題としてさまざまな問題を残しているが、それはそれで解決されることを望んでいる。しかし、日朝間には日本の植民地支配の清算問題などがあり、加害者である日本が責任を負うべき問題についての議論は一切なされていない。日本は朝鮮に対する信頼を持ち合わせていないように見えるが、よく考えれば日本は要求ばかりし、相互信頼のための誠意を何も示していない。日朝宣言にのっとった誠実な対応を求める。(澤入みゆき、大学生)

 日本国の慣例と学会の通説の立場から、法律論の提言をしようと思う。マイノリティーは犠牲になったとしても、マジョリティーの意見を重視するのが日本国憲法下での民主主義制度だ。在日朝鮮人に対しては特別な扱いをするべきだ。みなさんの民族自決権、民族に関する自己決定権はある。最後まで守り通してほしい。(山本康司、中央大学法学部法学研究科助手)

 これまでも多くの人が朝鮮に行き、交流や人道支援を行ってきた。日朝首脳会談以降、朝鮮批判が強く、活動にも陰りが見え始めたが、それでも地道に活動してきた。思った以上に日本社会の世論が、私たちの考えとかけ離れていないということを感じている。これらの法案が成立すると肉親への送金や離散家族の祖国訪問が困難になり、ピースボートの船を使っての民間交流もなくなる可能性もある。強硬姿勢ではなく、対話で平和的に解決してほしい。(栗嶋聡子、NGO団体所属)

 日本の国際協力のNGOとして、96年から朝鮮に人道支援を行ってきた。初めて訪朝した時、日本は朝鮮との信頼関係を長い間作ってこなかったと感じた。地道な支援を続ける中で、相手の顔がどんどん見えていく関係になっていった。経済制裁への法案がどれだけの問題解決になるのかと疑問だ。やっと打ち解けた朝鮮の人々たちとの信頼関係を簡単に崩されてしまうと思うと悲しい。この日本から、反対の声をあげて地道な活動を続けていきたい。(寺西澄子、KOREAこどもキャンペーン)

 歴史とは関係なく、最近の日本の状況を見ていて、50年前の植民地時代と言わないまでも、1週間前のことも忘れてしまうようなことになっている。結果からみると、日本が武器を用意して相手に銃口を突きつける形で交渉に臨んでいると思う。朝鮮は日本に対して、植民地清算をしろとずっといい続けている。それを日本はしっかりと受け止めるべきだ。なぜ朝鮮政府が原則を守って過去の清算をしろと言っているのかを真剣に受け止める必要がある。(石田精一郎、東京大学日朝関係史研究会)

 11日に外務省を訪れ、「日朝ピョンヤン宣言を支持し、北東アジアの平和と安定を求める署名」を提出してきた。朝・日間の非正常な過去を清算し、懸案事項を解決して、関係を樹立することが地域の安定と平和に寄与すると主張してきた。

 対朝鮮経済制裁がまかりとおるようになった時、また朝鮮と日本の対話は閉ざされてしまう。対話を促すために、これからも努力をしていこうと思う。(宋忠鉐、「日朝青年友情プロジェクト」共同推進委員会、在日本朝鮮青年同盟中央本部国際部長)

 昨年の7月下旬に平壌で開催された、朝鮮半島における平和保障に関する国際討論集会に参加してきた。米国、中国、ロシアなどさまざまな国が参加していた。8月2日に日本に戻り、外務省の北東アジア課を訪ねた。日本は一刻も早く「平壌との対話を再開すべき」「平壌はいつでも話しに応じる」と伝えた。政府は対話と圧力を掲げているが、両立するはずがない。日本政府が日朝近現代史100年を正確に振り返って、新しい総括をして、日朝関係を21世紀にふさわしく根底から作り直す努力をしてもらいたい。(横堀正一、日朝学術交流協会事務局長)(文責=編集部)

[朝鮮新報 2004.3.16]