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「改正外為法」に抗議する日本各界の声

 日本当局が朝鮮に対する経済制裁を狙い「改正外為法」を成立させ、さらに「特定船舶入港禁止法案」などを国会に上程しようとしていることと関連し、日本の各界は引き続き非難と抗議の声を高めている。

 政府、与党が進めている朝鮮に対する制裁法制定の動きに、断固として反対を表明する。

 政府は「対話と圧力が必要だ」と主張している。しかし、「対話と圧力」は両立するだろうか。圧力をともなう対話とは、脅迫にほかならない。

 制裁法の制定は、「互いに安全を脅かす行動をとらない」とした日朝平壌宣言に違反している。また、「互いに状況を悪化させる言動をとらない」あるいは「話し合いにより平和的に問題を解決する」とした第1回6者協議の合意事項にも反している。制裁法の制定は、国際的な信義を損なっている。

 また、制裁法という経済的圧力は実力行使の一環である。それは、東アジアの緊張を高める原因となるだけでなく、実力行使のエスカレートによって、日本が朝鮮に対して実際に軍事的圧力をかける事態へと発展しかねない。日本が戦争への道を突き進むことを阻止するために、いま制裁法の制定を阻止しなければならない。

 制裁法は、拉致問題や核問題に直接関係のない在日朝鮮人を直接の適用対象としている。在日朝鮮人の権利をはく奪し、自由を侵害することになる。制定された改正外為法だけでも、たとえ発動されなくても、在日朝鮮人の日常生活はすでに著しく脅かされている。

 制裁法の制定には、「朝鮮征伐隊」などを名乗る右翼テログループの犯行や、石原都知事など自治体による総聯関連施設、朝鮮学校に対する不当な課税攻撃に通じるものがある。民族排外意識に根ざした在日朝鮮人社会そのものを抹殺しようとする暴挙である。在日朝鮮人の権利を擁護し、ともに暮らしていける社会を築くために、制裁法の制定、発動を許してはならない。(北川広和、「日韓分析」編集人)

 朝鮮に対して日本単独で経済制裁を行うことのできる「外国為替法」が改正された。この法改正を主導したのが自民党若手の「対北朝鮮外交カードを考える会」であることからも明らかなように、これは朝鮮に対する悪意を前提とした「経済制裁法」である。私たちは日朝友好連帯を進め、早期の日朝国交正常化を求める立場から、この悪法を認めることはできない。

 しかも「特定船舶入港禁止法案」や「再入国禁止法案」まで国会に上程されようとしている。在日朝鮮人が朝鮮へ自由に渡航することを保障せずに、船の入港、再入国を禁止するに至っては日本国憲法が保障する市民的自由の侵害以外のなにものでもない。

 さらに国の動きに先んじて石原東京都知事は朝鮮船舶の東京湾への入港規制の条例制定を目指し、関東近県をも巻き込んで朝鮮包囲を強めようとしている。

 私たちは日本が平壌宣言を誠実に履行し、日朝国交正常化を実現していく中で、さまざまな問題は解決できると信じている。(鎌倉孝夫、日朝友好連帯埼玉県民会議議長)

 日朝間の関係正常化にとって新たな障害をもたらし、6カ国協議など核問題の平和的解決を遅らせることにつながる今回の法「改正」に抗議する。

 日朝平壌宣言の発表から1年半が経つが、日朝関係はかつてないほど悪化している。

 今回の外為法「改正」は、平壌宣言の精神や6カ国協議の合意に反するものであるとともに、実際に経済制裁が行われれば朝鮮の食糧不足を加速させ、犠牲が広がりかねない。また、在日朝鮮人にとっては親類などとの交流、往来を制約するものとなり、基本的人権の侵害行為となる。

 朝鮮への経済制裁は、「特定船舶入港禁止法案」や「再入国禁止法案」などの国会提出の準備や検討として進められている。私たちはこれらの法案に反対し、外為法については発動しないこと、「特定船舶入港禁止法案」や「再入国禁止法案」は国会上程しないことを強く求める。(船橋延嘉、埼玉県平和運動センター議長)

 日朝間の懸案問題を解決するためにも、話し合いのパイプを持つことの必要性が南、中国からも指摘され、非公式とはいえ拉致問題についても一定の前進に向けた動きが見受けられるような状況下で、朝鮮に対するどう喝とも言えるこの法案が成立したことに失望と怒りを禁じえない。

 今国会でイラク派兵に関わる諸法制が成立し、国民保護法案など有事関連法案が提出されるなかでの朝鮮バッシング法とも言えるこの法は、戦争遂行国家体制の完成をもくろむものであり、在日の治安管理を強化していくものとして断じて許すことはできない。(ヨンデネット大阪)(順不同)

[朝鮮新報 2004.3.2]