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外為法成立に日本の各団体が反対声明

 日本が朝鮮に対し「単独経済制裁」を目的とした外国為替法改正案が1月29日に衆院を通過、9日成立したことと関連し、日本のさまざまな団体がこれに反対する声明を発表している。以下、声明の要旨を紹介する。

 改正案は目的に「安全の維持」を加え、日本の独自判断で北朝鮮への経済制裁を可能にする内容となっており、いわば「有事関連法」としての役割を持たせるものだ。

 政府は「法制定と発動は別」と述べているようだが、法をもてあそび「制裁」をふりかざすそのような態度は、広く国際社会の理解を得、信頼される姿勢とはいえない。

 さらに、「特定外国船舶入港禁止法案」や永住外国人の帰国者「再入国禁止法案」などという、日本の植民地支配の犠牲となった在日朝鮮人の基本的人権まで奪うような法案が用意されていることに、日本人として深い悲しみと強い憤りを禁じえない。(清水澄子・朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会代表、津和慶子・I(アイ)女性会議中央本部議長、2月5日)

 ブッシュがイラク攻撃の次に狙う新たな朝鮮戦争において、日本は参戦するための有事関連諸法案の制定を急いでいるが、「経済制裁法案」はその決定的な一環である。

 朝鮮への「経済制裁法案」は「外為法改悪法案」のほか、「特定外国船舶入港禁止法案」(仮称)、「再入国禁止法案」(同)が用意されている。朝鮮へのこれら「経済制裁法」とその発動は、日朝間の対立関係を「宣戦布告」へと至らせる歴史的暴挙である。

 求められているのは、朝鮮人民への敵視政策を平和友好政策に転換しなくてはならないことだ。そのために戦後補償を含めた早期の日朝国交正常化は、きわめて重要な外交課題であるはずだ。

 日本政府は朝鮮への「経済制裁法案」の制定を白紙撤回し、戦後補償を含めた日朝国交正常化を速やかに実施しなくてはならない。(アジア共同行動日本連絡会議、1月31日)

 通商経済法である外為法は、国際収支の均衡、通貨の安定、わが国経済の発展を目的に、資金の移動などに対する規制は必要最小限とし、その管理、調整は例外的扱いとされてきている。しかるに本「改正」案は、外為法をわが国の安全保障の手段として活用するものである。

 また、北東アジアの平和を維持、前進させるための2国間合意や多国間協議が進行しているなかで、わが国が「経済制裁法」を定めることは、日朝平壌宣言や6カ国協議という平和の努力に逆行し、新たな緊張を持ち込むものにほかならない。

 最後に、外為法を有事法制化することが妥当か、対応措置によって拉致問題が本当に解決できるのか、北東アジアの平和にとって支障とならないかなど、解明されるべき論点が多いにもかかわらず、半日の委員会審議で可決するなどほとんど暴挙に等しい。(自由法曹団、2月4日)

 在日朝鮮、韓国人の少なからぬ人々が朝鮮に血縁を持ち、いわゆる離散家族となっているのは、日本の朝鮮植民地支配と無責任な戦後処理、半世紀以上も朝鮮と国交を結ばずにきた敵視政策の結果である。

 この歴史的経緯を無視したこれらの法案は、在日朝鮮、韓国人の家族や親せきの物心の絆を断ち切るという非人道的な制裁措置であり、在日朝鮮、韓国人を人質にするという稚児的で犯罪的な措置と言わざるを得ない。

 また、東アジアの平和構築を図ろうとする近隣諸国の政府や市民、何よりも食糧難に苦しむ朝鮮に人道支援を行っている諸団体の努力を踏みにじり、新たな緊張の火種を持ち込もうとする時代錯誤の冷戦的発想である。(北朝鮮人道支援ネットワーク・ジャパン、2月5日)

 もし朝鮮に経済制裁が行われれば、現在の食糧不足とあわせイラクと同様、あるいはそれ以上の事態が生み出される可能性が強い。この間も、さまざまなNGOが人道的食糧支援を行っているが、私たちは「経済制裁より人道的食糧支援」を行うべきだと強く主張する。

 加えて送金の停止にせよ、船舶の入港禁止にせよ、朝鮮植民地支配と強制連行などの結果、日本に定住せざるを得なかった在日朝鮮人にとっても、親類をはじめ祖国の人々との人的物的往来そのものに著しい制約をきたすものとなる。これは在日朝鮮人の基本的人権に対する重大な侵害行為である。再入国禁止法案などはその最たるものである。(3.1朝鮮独立運動85周年イラクにも朝鮮半島にも平和を! 行動実行委員会、1月29日)

[朝鮮新報 2004.2.16]