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青山協同農場 高まる労働意欲、強まる団結力

 【平壌発=姜イルク記者】朝鮮各地の農村で真っ盛りだった秋の収穫が10月22日、全地域で終わった。平安南道江西郡青山協同農場では、10月5〜14日まで一斉に稲刈が行われたが、今年も労働者、学生らの支援を受けることはなかった。朝鮮独特の「農村支援」風景は、最近あまり目にすることがなくなった。「働いた分だけ分配を受ける」という社会主義分配原則の農村における現状はどうなのか。青山協同農場を訪れ取材した。

収支統計を公開

天候には恵まれなかったが、例年の平均を上回った稲作 [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 朝鮮の各協同農場には、農場全体の経営を管理する管理委員会がある。青山協同農場管理委員会を訪ねると、建物の前に大きな公示板が立てられていた。そこには同農場の穀物班、野菜班、機械班など全26班の支出、収入、労力日数など、2004年度の統計が公示されていた。

 約40年間同農場で働いてきたキム・リョンイル責任技師(63)によると、この公示板自体は2002年の経済管理改善措置施行以前から設置されていたが、農場員らは最近とくに公示板の内容に大きな関心を払うようになったという。

 キムさんは、「農場員らは公示板を見て今年度の分配量を計算している。他の班、分組の成績も自然と目に入るので、競争心も働くようだ」と話した。

稲刈りを行う青山協同農場の農場員

 協同農場は班という生産単位に分けられ、班はいくつかの分組で構成されている。1つの班の人数は80〜120人。従来の分配方法では、実績の多い分組、少ない分組があっても班の内部では一律に分配が行われていたが、2002年以降は班から分組単位に移行した。労働意欲を低下させる「平均主義」が克服され、「働いた分だけ分配を受ける」という制度が確立されている。

 キムさんの説明によると、土地使用料、肥料代、機械を動かすのに必要な油代などの経費を収入分から差し引いた分が各分組に分配され、さらに労力日数によって個々人に割り当てられる。

 ちなみに収入はというと、国家計画によって定められた生産量は国定価格で、それ以外の「計画」を超過した分については市場価格に近い高額で買い取られる。国家が協同農場の生産物をすべて掌握しながらも、優遇措置が取られているわけだ。

青山協同農場がある江西郡 [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 こうした措置が取られる中で、「農民らの責任感はさらに向上し、土地の主人公だという意識がより強くなった」(キムさん)。農場員らは生産量を増やすため、より効率的な土地の使用、肥料問題などに関心を持って努力と工夫をするようになったという。

 農民らは一方で、支出を抑える努力もするようになった。とくに労働者、学生らの「支援」を受ける問題だ。農作業に不可欠な支出を抑えることは難しいが、「支援」は工夫できる。

 機械班や野菜班など25の班がある青山協同農場では、2300人が働いていて余剰労力がある。忙しい班とそうでない班の労力を調整しながら、極力、農場員だけの力で解決するようになった。

 同農場に来て10年目のチョン・スンチョル穀物班班長(38)は、「農場内の人びとの助け合う気風が高まり、農場全体の団結力はさらに増している」と述べながら、「農業は天候に左右されやすく、今年の夏も稲の発育に有利な天候ではなかったが、例年の平均は上回った」と付け加えた。

より大きな「実利」を

 分組の構成人数は従来の25〜30人から10〜15人に縮小された。各分組を上部機関が把握しながらも、機動力を発揮するのに最も適切な人数だと判断したという。

 キムさんは、「個人農業に移行していくことを意味するのではない。あくまでも集団主義、社会主義的方法に基づいていて、これは絶対に変わらない」と強調した。

 キムさんは、2002年以後取られた一連の措置はより大きな「実利」を得るためのものだと歓迎の意を表しながら、これからも非合理的な経営方法はさらに見直されるだろうと述べた。

[朝鮮新報 2004.11.13]