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〈月間平壌レポート〉 民族遊戯写真特集の裏話

 【平壌発=姜イルク記者】平壌支局では今月、民俗遊戯を楽しむ市民というテーマで写真特集を準備した。しかし、撮影は思ったほどうまくいかなかった。子どもらをはじめ、若い世代が遊戯に慣れていなかったためだ。旧世代からは、03年から取られた民族の伝統、風習を奨励する国家的措置を改めて支持する声が聞かれた。

登場したのは40代

民族競技である綱引きをしながら楽しいひとときを過ごす市民たち

 今年6月の端午の日を機にオープンした総合民俗遊戯場。綾羅島にあるこの遊戯場には、クネ(朝鮮式ブランコ)やノルティギ(朝鮮式シーソー)、ユンノリ(朝鮮のすごろく)、シルム(朝鮮相撲)、朝鮮将棋などの遊びができる施設が整っている。

 利用者は集団のケースが多いという。各工場、企業所の設立記念日などに職員らが民俗競技を行っている。普段も、綾羅島遊園地の入場料を払えば自由に楽しむことができる。

 10月5日から始まった朝鮮選手権大会のシルム(朝鮮相撲)競技大会は、初めてこの相撲場で行われた。取材に行くと、多くの観衆が見守る中、熱戦が繰り広げられていた。

 撮影が終わり競技場を出ると、隣に位置するメーデースタジアムの20、30代を中心とする若い職員(管理員)らが遊戯場周辺に大勢集まっていた。

 「民俗遊戯を楽しむ若者」を写真に収めることにした。そこで、20代の女性にノルティギができるかと尋ねると、得意そうに「できる」。しかし、その姿はぎこちなくいつになっても宙に浮かない。カメラマンがあきらめ、「撮影中止」と宣言した矢先、女性はバランスを崩して顔から地面に。大事には至らなかったのでよかった。

 数日後、そこの職員の紹介で、全国農業勤労者の民俗競技大会(今年8月)で優勝した女性らにモデルになってもらうことにした。

 しかしそこにやってきたのは、意外にも40代の女性らだった。まだまだ若者には負けない、とばかりに演技を披露してくれた。平壌市万景台区域の農場員リ・ヨンオクさん(45)とミン・オクファさん(48)は、ここ5年、常に大会上位に食い込んでいる「有名人」だ。「幼い頃から民俗遊戯に慣れ親しんだのが秘訣」と得意そうに話すリさんは、民俗遊戯を奨励する最近の国家的措置はとてもいいことだと話していた。

小学校の課外授業

 今年に入って、金日成広場、凱旋門広場など市内の広場には民俗遊戯の道具をレンタルするサービス所が開設された。そのためか、子どもらが民俗遊戯を楽しむ姿をよく目にすることができる。

 10月1週目の土曜日、金日成広場ではチャンジョン小学校4年5組の生徒十数人が民俗遊戯をしていた。男子はコマまわしとチェギチャギを、女子はチュルノムキ(縄跳び)をしていた。同行していた担任のナム・ヨンシルさん(24)によると、これは毎週土曜の課外授業の一環。小学校では最近、体育の時間には実技を、図工の時間には遊戯道具作りを行うなど、民族の伝統、遊戯を体系的に教えているという。

 しかし、子どもらはコマをうまく回すことができない。民俗遊戯の課外授業はこの日が初めてだとか。たまらず平壌支局スタッフが小学生にそのコツを教えていたら、通りかかった知人に、転職したと勘違いされる一幕も。ナムさんは、子どもらに民族心と愛国心を植え付けることの重要性を強調していた。

前日との温度差11度

 10月に入り、気温は急激に下がった。9月30日には暑くてクーラーをかけていたのが、翌日には暖房に切り替えた。前日との温度差は実に11度。テレビの天気予報は、連日のように「観測史上初」という言葉を用いて記録的な暑さを伝えていたが、もう聞かなくなった。

 下旬にはめっきり寒くなり、市民らも冬服に衣替え。そろそろキムチを漬ける季節だ。街の至る所には、キムジャンに用いる赤とうがらしが干され始めている。アパート暮らしの家庭でも、ほとんどがキムジャンをしているという。

 民族が誇るキムチ。中でも平壌キムチは格別だ。各家庭の伝統の味が確実に引き継がれていくことを望む。

[朝鮮新報 2004.10.28]