民主労働党、市民団体が、ウリ党の刑法改正法案非難、完全廃止求める |
開かれたウリ党(ウリ党)は17日、議員総会を開き「国家保安法」廃止に伴う代案として、内乱罪を補完する刑法改正案を採択、党論に定めた。しかし、「ウリ党の党論は保安法の新たな変種」として、民主労働党や民間団体は強く反発している。 協力体制破棄を示唆 ウリ党は、同法廃止の代案として代替立法など4つの案を提示。党内で議論を進めてきた。 千正培院内代表は、「多くの議員が1案(内乱罪補完案)を支持しているようだ」と述べ、これを党論として採択することを要請。表決なしで通過させた。 この刑法改正案によると、87条に「内乱を目的とする団体の組織」条項を新設し、保安法の「反国家団体」条項を代替するというものだ。 ウリ党は今後、保安法廃止を党論としている民主労働党や民主党と協議し、3党による共同発議で20日の国会提出を目指している。 これに対し民主労働党は18日、論評を発表し、「ウリ党の議員総会の結果にはとても失望した」と指摘。「ウリ党の刑法補完案は保安法の新たな変種を生むだけだ」と非難した。 また、「民主労働党が提示したガイドラインはすべて崩れ去り、改革共助の意味は失われた」と述べ、今後の協力体制をすべて破棄する構えをみせた。 一方、市民団体もウリ党の決定を強く非難している。 「『国家保安法』廃止のための市民連帯」(市民連帯)は同日、声明文を発表。「保安法の反人権的な毒素条項である反国家団体条項を、『内乱目的団体組織罪』と名称だけ変更し刑法に引き継がせる法案を確定した」と非難した。 また、「内乱目的団体」への加入や組織はもちろん、予備陰謀、宣伝扇動までを処罰対象に含めたことにより、保安法の称揚鼓舞罪、潜入脱出罪、会合通信罪などの条項削除を無意味なものにしたと指摘した。 「民主社会のための弁護士の会」は18日の声明で、ウリ党の決定に対し一定の評価を与えながらも、「刑法改正案の内乱目的団体と関連した条項は、保安法の『反国家団体』条項を丸写ししたという誤解を招きかねない」「この条項は保安法によって処罰された利敵団体の構成や加入行為に適用されてはならない」と主張した。 そのうえで、「このような憂慮を払拭するため、ウリ党は同条項新設の趣旨が現行の刑法規定を再確認、補充するものであるということを明らかにすべきであり、改正案提出の際には濫用の余地がないよう法律案をさらに綿密に検討すべきだ」と促した。 南のほとんどの人権市民団体が参加している「『国家保安法』廃止国民連帯」(国民連帯)も18日に論評を発表し、ウリ党の刑法補完案に憂慮を示しつつ、保安法の完全廃止を強く求めた。 国民連帯は内乱目的団体の組織規定について、「この条項は保安法の『反国家団体』条項と同じような解釈と適用を生む」と指摘。今後、民主労働党、民主党、人権市民団体との協議を通じ、刑法補完というウリ党の立場を撤回させるとともに、保安法の撤廃を求めていくことを明らかにした。 また、保安法は政争の対象ではないと指摘したうえで、今後ハンナラ党との協議過程でウリ党の党論が後退しないよう釘を刺した。 「北南関係進展しない」 一方、北もウリ党が保安法廃止に伴う4つの代案を出したことを非難している。 祖国平和統一委員会(祖平統)スポークスマンは16日、談話を発表し、南朝鮮でどのような法が出ても保安法の残滓が1条項でも残っている限り、北南関係は進展せず南朝鮮社会の民主化も実現されないと強調した。 スポークスマンは、今回ウリ党が示した代案がすべて対話と協力の相手であり、同族である北を敵視する内容になっていることに問題があると指摘。ウリ党が保安法廃止に関連して打ち出した代案とは本質上、第2の保安法、反統一悪法であると指摘した。 そして、保安法代替立法事態により、南朝鮮当局と執権党を対話と協力の相手にすべきかということを再考せざるをえなくしていると述べながら、南朝鮮当局とウリ党の態度を注視すると強調した。 15日にも報道第888号を発表し、保安法の代案を非難するとともに、同法の完全廃止を強く求めた。 金日成主席の10周忌民間追悼代表団の訪北不許可を機に、北南関係がこう着状態に陥っている中、ウリ党の今回の刑法補完案によりさらに状況の悪化が懸念される。(李松鶴記者) [朝鮮新報 2004.10.21] |