’04女性のピースライン訪朝団、「万景峰92」号船内で在日同胞と交流 |
注目のまと
「朝鮮半島を戦場にさせない! 04女性のピースライン訪朝団」(団長=清水澄子・朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会代表)の活動は、8月30日、平壌市内の千里馬文化会館で行われた「朝鮮の統一と朝・日国交正常化をめざす女性連帯集会」を機に朝鮮のテレビ、新聞で連日のように報じられ、現地の人々の関心を集めた。 集会には52人のピースライン訪朝団ほか平壌市内の教員、労働者など約350人の朝鮮女性が参加。集会終了後、ホテルに向かうバスの中では「平日の昼間に350人もの女性たちが参加するのはとても大変」と、市民運動家ならではの発言も聞こえた。 後日、朝鮮対外文化連絡協会の関係者を通じて集会で発言した鄭恵順・平壌市中区域金成柱小学校校長のコメントを聞いた。校長は、「在日同胞子女たちに対するチマ・チョゴリ引き裂き事件など悪質な暴行や嫌がらせが続く中、日本と朝鮮の新たな関係をつくるため、民族教育の権利を守るために日本の女性たちが奔走していることを知りとても感激した。集会を通じて平和を願う日本女性の生の声を聞けて大変嬉しかった」と語ったという。 高まる関心
朝鮮の人々の日本に対する見方は「厳しい」のが現状だ。「小泉首相の2度目の訪朝以降、変化はあったのか?」との平壌市民からの問いを朝鮮滞在中幾度となく耳にした。 厳密なPSC検査により一時運行が停止していた「万景峰92」号が再び運行、しかし、30余年間朝・日間を往来していた朝鮮の船が突如「問題視」され、特定船舶入港禁止特措法が成立するなど、決して日本の「敵視」政策が変わったとはいえない、と答えた。また、朝鮮学校生徒への嫌がらせ、暴行等も今年5月以降再発するなど憂慮すべき状況が続いている。 「日本は朝鮮と国交を正常化させる意思があるのか?」「一国の首相が2度も公的に約束をしたというのになぜ何も変わらない」「朝・日平壌宣言を白紙に戻そうと言うのか?」との憤りの混ざった声を現地で聞いた。しかし2度目の首脳会談以降、国交正常化のための大局的な流れが形成されつつあり、各分野の日朝交流が地道ではあるが展開されていると、日本の状況についても知らせた。 朝鮮の人々は、日本という「国家」に対して厳しい見方をしつつも、平和と朝・日国交正常化のために朝鮮を訪れた女性たちにはあたたかい情を示しているようだった。 宿泊先の普通江ホテルで働くキム・オクキョンさん(18)は「日本に対しては血の宿敵という印象が強かった。けれど、今回直接接してみて、本当のオモニのような方たちだと思った」と話し、パク・ミョンスクさん(25)は「女性だけの訪問団と知りとても驚いた。国交正常化に向けて努力する方々なのでいつもよりサービスしなくてはと思った。早く祖国が統一して、日本との国交が正常化されることを願う」と話していた。 「平壌宣言」の履行を
4日、日本へ向かう「万景峰92」号の中に「責任が重い…」と物思いにふける坂本洋子さん(東京都)の姿があった。石沢幸子さん(秋田県)は「日本は、若者や子どもに、きちんと歴史を教えるべき」と話していた。 船内には祖国を訪問した朝鮮大学生ほか多くの在日同胞たちが乗っていた。「女性のピースライン訪朝団」に対する関心は高く、船内で行われた交流会で日本女性らが「金日成将軍の歌」を日本語と朝鮮語で歌うと、船内は驚きと感激の拍手で包まれた。福岡県の総連顧問は「涙が溢れた。部屋に入ってオイオイ泣いてしまった」と語ったという。 今後、各地で「ピースライン訪朝団」の報告会が予定されている。「平壌宣言」の履行を目指し、戦争のための「ガイドライン」ではなく、平和のための「ピースライン」が日本各地でどんどん広がって行くことを望む。(金潤順記者) [朝鮮新報 2004.9.13] |