〈月間平壌レポート〉 主席逝去10周年、市民の決意新たに |
意義深い7月
金日成主席の逝去10周年を迎えた朝鮮にとって、今年の7月は特別な意義を持つ月となった。 10周年という節目ということもあり、メディアはこぞって主席逝去後の10年を回顧する企画や特集を組んだ。「この10年という歳月は、単に過ぎ去った月日の流れ以上の大きな意味を持つ」「先軍政治の輝かしい勝利」(8日付労働新聞社説)という表現が決して大げさではないことを、平壌市民の表情を取材するなかで知ることができた。 過ぎ去りし10年間を振り返る平壌市民たちは、在りし日の主席の姿を思い浮かべ涙し、また、金正日総書記の先軍政治のもと一心団結し幾多の困難を乗り越えたからこそ今があると誇らしげに語った。そこに10年前の悲壮感はない。 厳粛な雰囲気のなか7月8日を迎えた平壌は、歩んできた道に対する確固たる信念と、強盛大国建設への決意に満ちあふれているように見えた。
10年前のあの日から万寿台の銅像を訪れる人波は途切れることがない。「主席は永遠にわれわれとともにいる」というスローガンはひとびとの生活の中に深く息づいている。 自信に満ち楽観的ですらある平壌の表情は、国家建設と対外政策におけるこれからの攻勢を予感させた。 一方、統一へ向けた北と南の和解と協力の動きに水を差すように、南朝鮮当局は金日成主席逝去10周年に際した南の民間弔問団の平壌行きをシャットアウトした。当局の決定は北南関係にも否定的な影響を及ぼし、その波紋はさまざまな方面に広がっている。 離散家族の再会や教育者統一大会などは金剛山で予定通り行われたが、目下民間団体の訪北や民間級の交流が中止または延期になるケースが増えている。また、8月3日からソウルで予定されている北南閣僚級会談の開催も不透明な状況だ。 平壌では、「南朝鮮当局は10年前と全く同じ過ちを繰り返した。現政権は金泳三『文民政権』と何一つ違うところがない」という厳しい見方が支配的だ。 人類共通の財産に 7月の初めには、朝鮮の高句麗壁画古墳群の世界遺産登録決定といううれしいニュースが飛び込んできた。 登録された古墳のほとんどが平壌市およびその周辺部に集中していることもあり、高句麗の古都平壌の市民も、この民族共通の喜ばしい知らせにわきにわいた。 「民族の優れた文化遺産が、人類共同の価値を持つ遺産として世界的に認められたことになる」。会議に参加した文化保存指導局の関係者は、各国の代表が壁画古墳群の世界遺産登録を支持してくれたことや、登録決定の瞬間の興奮した会場の雰囲気、帰国後の熱烈な歓迎などを興奮さめやらぬ口調で話していた。これからは世界遺産にふさわしい環境作りが要求される。登録のために東奔西走する日々が続いたが、「また忙しくなりそう」と笑いながら話した。 攻勢の8月へ 連日の記録的な猛暑に見舞われた日本とは対照的に、平壌は涼しい天気が続いている。梅雨に入り雨天が多いが、湿気が少ないぶん過ごしやすい。7月20日の初伏を過ぎた頃から日中の気温も上がり、そろそろ平壌にも本格的な夏が訪れつつあるようだ。 夏の訪れとともに、朝鮮半島をめぐる情勢もふたたび大きく動き出しそうである。 8月には8.15記念行事や民族作家大会など北と南の間でさまざまな行事が予定されている。13日から始まるアテネオリンピックの開幕式では、統一旗のもと北と南の選手団の合同入場行進が実現する。また、第4回6者会談のための実務協議が8月末に、朝・日間の実務協議が10日を前後して平壌で開かれるという話も浮上してきている。 決意の7月から攻勢の8月へ。世界の目がますます朝鮮に注がれることになりそうだ。 [朝鮮新報 2004.7.29] |