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南朝鮮で保安法改廃に向け政・民が一致して主張

 さきの南朝鮮国会で「存続か、改正か」の論議をすり抜け生き残った「国家保安法」。総選挙を経て出帆した第17代国会では、まず同法の「称揚鼓舞」(7条)や「不告知」(10条)など、軍事政権下で人権弾圧の手段として使われてきた条項の削除では、与野党が意見の一致を見たほか、一部では廃止に向けての作業に着手した。こうした国会の動きをさらに後押しするように、市民社会団体の間からは長年の目標とも言える同法の廃止を強く求める声が強まっている。

なくても問題ない

 「開かれたウリ党」(ウリ党)の「国家保安法廃止立法推進委員会」(仮称)結成のための会は21日、国会で懇談会を開き来月25日に「国家保安法廃止法案」を国会に提出することを決めた。

 会を主導する任鍾皙議員が作成した同法廃止までの「ロードマップ」によると、今月末までに党内の意見をまとめた後、来月3日に「立法推進委員会」を構成。20日までに廃止に向けた世論の形成と立法化のための調査活動を展開し、25日に法案を提出するとともに法務部、統一部、国家情報院などと協議を重ねることになっている。

 任議員は、「代替立法ではなく刑法に吸収させるという完全な廃止を目標にしている」と述べながら、「全面的な改正に向かっている党内の雰囲気や、改廃に同意している野党と積極的に協力、連帯することで国家保安法の改廃を17代国会の重要課題にしたい」と強調した。

 結成のための会は党内に立法推進委を構成して、早い時期に野党との協力を通じ、北南関係発展のための包括的な「立法連帯」の構成を目指している。これにより保安法の廃止とともに、北南交流協力法の全面改定、北南関係発展基本法の制定などを同時に進める計画だ。

 ウリ党の辛基南議長は、「年内に同法の改廃問題に終止符を打つ」と宣言しており、「千正培(ウリ党)院内代表ともこの点では合意している」と強調した。

 辛議長は9日、米国を訪問した際ニューヨーク・タイムスとの懇談会で、「刑法でも十分で、保安法がなくても問題はない」と述べている。

 一方、国会は保安法をはじめ私立学校法など主要法案処理のため、与野党の15人の議員からなる法制司法委員会を発足させ、9月からの定期国会で諸法案の処理に当たる予定だ。

 ハンギョレ新聞は18日、これら15人の議員に設問調査を実施。保安法については5人が廃止、5人が改正、1人が現状維持を主張しており、ほとんどが改廃を望んでいることが判明した。

決断のときが来た

 各市民社会団体も連日、保安法の廃止を求めてさまざまな運動を展開している。

 韓国青年団体協議会(韓青)は22日、「国家保安法廃止のための全国デモ行進」をスタートさせた。

 デモ行進は44日間かけて全国23地域、計1350キロを徒歩で行進する。

 行進に先立ってソウルで記者会見を行った参加者らは、「国家保安法廃止のための決戦のときが来た。韓青のすべての会員が肩を組んで同法廃止のたたかいに立ち上がろう」と気勢を上げた。

 記者会見の場には韓相烈統一連帯常任代表をはじめ、イム・ギラン民家協前常任議長、カン・スンギュ民主労総首席副議長、オ・ジョンリョル全国連合常任議長、ムン・ギョンシク全農議長などが駆けつけ、参加者に激励のあいさつを送った。

 これに先立つ17日には、統一連帯がソウルで「国家保安法撤廃のためのたたかいを宣言する記者会見」を開き、韓相烈常任代表が「国家保安法の根は米国問題であるということをみんなが知っている。米国こそ分断の元凶でありわが民族の主敵だ。国家保安法撤廃運動は反米闘争であり統一闘争だ」と強調した。

 保安法の改廃問題に関しては、「廃止にすると保守層からの反発を免れない」と慎重を主張する勢力も政界に存在しており、いまだ同法の「運命」は定かではない。

 しかし大勢は廃止へと流れており、来月末からの本格的な動きが注目される。

[朝鮮新報 2004.7.24]