弾劾棄却で盧大統領職務復帰 |
大統領弾劾訴追の是非を審理していた憲法裁判所は14日、違法行為を一部認めたものの「弾劾に相当するほど重大なものではない」として訴追を棄却。これにより約2カ月間職務権限停止が続いていた盧武鉉大統領は即日職務に復帰した。総選挙で国会の過半数を占めることになった与党・開かれたウリ党(ウリ党)を足場に、再スタートを切ることになった。 歓迎される決定
大統領弾劾案は3月12日、国会で野党のハンナラ党、新千年民主党の主導で可決された。弾劾の理由は、▽4月の総選挙を前に無党籍の大統領がウリ党支持発言を繰り返し法治主義を否定した、▽側近の不正腐敗により国政運営の正当性を失った、▽国民経済と国政を破たんさせたというものだった。しかし、弾劾の是非が争点になった総選挙では、弾劾を主導した野党が敗北、ウリ党が議席の過半数を占め勝利した。 総選挙の結果は今回の憲法裁判所の判断にも影響を与えたと見られている。 憲法裁判所は、最大の争点とされたウリ党支持発言については「大統領は公務員としての選挙中立義務に違反した」と認定したが、弾劾に相当するほど重大なものではないと結論づけた。また、側近不正、経済、国政破綻に対する責任論については「側近不正には直接関与しておらず、政策の出来不出来は弾劾理由にならない」とした。 弾劾棄却の決定を受けて大統領府は、「新たな決意で政権の出帆精神を具現していく」とコメントした。 また、ウリ党は鄭東泳議長が声明を発表し、南に民主主義が復帰した日だと歓迎の意を示した。声明は、「3.12議会クーデターは国民に対する反逆、歴史に対する反逆、民主主義に対する反逆だった」としながら、「古い政治を変えなければならないという民意を尊重していく」と指摘した。 一方、ハンナラ党スポークスマンは、「ハンナラ党は憲法裁判所のどのような決定にも100%従うという原則のもと、淡々たる心情で決定を受け入れる」と発表した。 民主労働党も論評を発表し、「当然の結果として尊重する」「盧武鉉大統領に対する弾劾棄却をスタートに、真の共生をめざす政治が始まらなければならない」と指摘した。 また、「弾劾無効、腐敗政治清算汎国民行動」が声明で「弾劾訴追によって、国民世論とかけ離れた政治判断で、法律的にも無効であったことが確認された」と指摘するなど、弾劾棄却は市民団体からも歓迎されている。 決意新たに指導 約2カ月ぶりに職務に復帰した盧武鉉大統領は弾劾棄却の翌日、「国民に向けたメッセージ」を発表した。人びとが大統領の職務停止という権力の空白の間に動揺せずに対処したことに感謝の意を示しながら、「就任時より重い責任感を感じる。新たな気持ちで気を引き締め、期待を裏切らないよう一生懸命に活動する」と決意表明した。また、経済問題を中心に政策課題を表明する一方、新たな国会が推進する政治改革を後押しすると言明した。 盧武鉉大統領は20日、ウリ党指導部の幹部らとの面会で、党が全国的な組織体系を整えるよう要請。同時にウリ党への入党手続きを行った。今後ウリ党は、「実質的」与党ではなく、法的にも正式な与党となった。 一方、韓国大統領府は16日、新設の市民社会首席秘書官に、弾劾審判の弁護団幹事を務めた文在寅弁護士を起用すると発表した。文弁護士は、大統領と同じ弁護士事務所出身の「盟友」とされ、盧政権発足時から今年2月まで民政首席秘書官を務めた側近だ。 また、秘書官人事に続き、近く内閣の一部改造を行うとされている。今月内にも、統一部、文化観光部、保健福祉部など、4〜5つの部署に対する改造を行うという。また、選挙を前後して役職を退いた鄭東泳ウリ党議長、金槿泰代表の入閣が確実視されている。 権力基盤を強化した盧武鉉政権が本格始動の準備を着々と進めている。 [朝鮮新報 2004.5.22] |