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日帝占領下強制動員被害真相究明等に関する「特別法」南の国会で成立、解放後初めて

 「日帝強制占領(植民地)下強制動員被害真相究明等に関する特別法」(以下「特別法」)が13日に南の国会で成立した。植民地時代の強制連行の真相究明を求める法律が南で制定されたのは初めて。提出者は、金元雄議員ら与野党の議員69人。金議員は記者会見で、「韓日両国が協力して人権回復のために真相究明に取り組むよう」訴えている。「特別法」は6カ月後の8月から施行される。

民族の尊厳回復を

 「日本国内では『強制連行はなかった』等の感情的な妄言が出ている今、今回の法律は冷静に過去の真実を見つめ、健全な両国関係を築く礎石となる。日本と南北朝鮮の和解と平和そして真の友好のためにも、強制連行の問題は明確にしなければならない」。日本の戦争責任資料センター事務局長上杉聡氏は、今回の「特別法」成立の意義についてこう語る。

 朝鮮解放後初めてとなる「特別法」は第1条で、法の目的として、強制連行被害の真相究明と真実を明らかにすることを明記した。第3条では被害と関連する「国内外の資料の収集」がうたわれているが、これは「日本に対して資料を出せということ」(洪事務局長)だ。

 日本ではこれまで、戦前、戦中に警察、朝鮮総督、台湾総督等を管轄した旧内務省の資料がほとんど公開されていない。毎日新聞1994年11月6日付によると、自治省(当時)には旧内務省の資料が放置され、それを積み上げると2万メートルになると言われていた。また、国立公文書館は43万冊もの資料を所有しているが、このうち公開されているのはわずか35%の15万冊。そのほか、法務省、警察庁、防衛庁防衛研究所図書館、外務省、厚生労働省などにも大量の未公開資料があるが、(一部は外部に伝わっているが)正式には公開されていない。

 昨年、強制連行者40余万人分の名簿が北南で公開された。しかし、これも民間団体である朝鮮人強制連行真相調査団が30年かけて集めたもので、日本当局が自ら出したものでは決してない。

 今回の「特別法」が施行されれば、日本当局にも資料公開を要求することが可能になる。加えて、同法には「被害が発生した場所等に関する実地調査」(第15条@の4)の措置をとることも明記されていることから、関係者が今後、日本国内の強制連行跡地などに来て直接調査することも予想される。

「謝罪と補償を」

 「特別法」案は2001年10月2日に国会に提出された。植民地時代に強制連行された人々の正確な被害調査や真相究明の政府次元の対策が十分でなかったため、真相究明のための「特別法」が必要との観点から提案された。

 昨年3月にはソウルで初めて強制連行者42万人分の名簿が公開され、日に2〜300人の被害者や遺族が詰めかけるなど大きな反響を呼んだ。関係者によると、今回の法案成立にはこの名簿公開が少なからぬ影響を与えたという。主催者である「民族正気を打ち立てる国会議員の会」会長の金希宣議員も「特別法」案提出者に名を連ねる。

 「当時の労働人口のほとんどが連行されたにもかかわらず、日本は事実をわい曲し隠蔽してきた。強制連行被害と関連した真相を究明し証拠資料を収集、研究、保存することで被害者が謝罪と補償を受ける道が開ける」と昨年3月の時点で語っていた。

 朝鮮人強制連行真相調査団の洪事務局長は、「朝・日関係の現状から見ても今回の法成立の意義がある」としながら、「南北、海外同胞が協力して真相究明にあたるべきだ。そのために、同法案の成立が大きな契機になることを期待したい」と語っている。(文聖姫記者)

[朝鮮新報 2004.2.19]