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南での米軍環境犯罪に初の実刑判決

 ソウル地方裁判所は9日、2000年、ホルムアルデヒド470瓶(1瓶475ミリリットル)を下水溝にそのまま流した「漢江毒劇物放流事件」のマクファーランド・アルバート被告に懲役6カ月の実刑を言い渡した。

 判決文は、「被告人は葬儀士の経歴を持ち、(死体防腐処理に使われる)ホルムアルデヒド溶液の害悪性を知っていたのにもかかわらず、また部下職員が引き止めるのを無視して流した」として実刑判決を下した。

起訴状の受け取り、裁判出席拒否

 米軍兵士が環境犯罪で実刑を宣告されるのは南で初めてのこと。検察はすでに500万ウォン(約50万円)の罰金を求刑しており、裁判所の今回の判決は韓米地位協定(SOFA)を「積極的に解釈」したものとして南内部で歓迎されている。

 しかし今後、判決実行の可能性は不透明だ。SOFAや法に照らしても今回の判決は妥当だが、米軍側が被告人の身柄を引き渡さなかった場合、刑の執行は難しくなり、さらに両国の「外交摩擦」にまで発展する可能性もあるからだ。

 今回の裁判は1審のため被告人が控訴することもありえるが、「控訴自体が韓国の刑事権を認めることになるので可能性は低い。おそらくこのまま確定するだろう」(裁判を傍聴した市民、社会団体関係者)。

 一方、今回の裁判は米軍が公務証明書を発行したにもかかわらず、南の司法部が裁判権を行使した初の事例ということで注目を浴びている。

 弁護側は韓米行政協定第22条第1項の合意議事録規定を根拠に、「古くなって使わなくなった薬品を捨てるのは公務の機能」として米軍の裁判権管轄を主張した。

 裁判所はこれに対し、「公務証明書の価値は絶対的なものでないばかりか、公務とは『公務執行期間のすべての行為』ではなく、『公務の機能として行われることが求められる行為』」という判断を下した。

SOFAを「積極的に解釈」

 アルバート被告はこの間、起訴状の受け取りや裁判への出席をすべて拒否しており、この日も出廷しなかった。裁判所の執行官は、ソウル龍山区の米8軍や被告人の自宅を訪問して起訴状を伝えようとしたが、米8軍は執行官の部隊への出入りを禁じ、自宅では家族らがドアも開けずに「いつ帰宅するかわからない」と答えるだけだった。

 「平和と統一を開く人々」「緑連合」「駐韓米軍犯罪根絶運動本部」などの市民団体はこの日、裁判を傍聴した後に記者会見を開き「被告人を出席させられなかったことや量刑に不満はあるものの、今日の最終判決は大韓民国の司法主権を確立したもの」と評価した。

 これらの団体は今後、法務部による刑の執行を促すとともに、法務部の努力が足りない場合は公開手配運動を展開する予定だ。また、起訴状の受け取りを拒否しても対策のない現行SOFAを改定する運動も行う。

 「緑連合」のパク・インヨン幹事は、「米軍部隊では90年代に26件の油流出事故があったが、SOFAの環境規定に拘束力がないため解決していない」と述べながら、SOFA規定の拘束力強化を強く求めた。

※漢江毒劇物放流事件
 2000年7月、「緑連合」と「駐韓米軍犯罪根絶運動本部」の記者会見によって明るみに出たもので当時、米8軍霊安室副所長だったアルバート被告が毒物の漢江放流を部下に指示したというもの。事件発覚後、ソウル地検は01年にアルバート被告に対し、罰金500万ウォンの略式起訴を行った。しかしソウル地裁は同年、事件の重要性から被告人を正式裁判に回付した。被告は現在、米8軍霊安室所長として勤務している。

[朝鮮新報 2004.1.16]