〈大統領選挙時の不正資金集め〉 混乱続く南の政界 |
昨年末から、南のマスコミで連日のように報じられてきた政治家の不正資金問題。今年に入り、現職議員8人(ハンナラ党5人、民主党2人、「開かれたウリ党」1人、14日現在)が拘束されるまでに至っている。 現職議員8人拘束 昨年末、ハンナラ党の李会昌元大統領候補の側近であるソ・ジョンウ氏の逮捕をきっかけに、検察の捜査によって当時、ハンナラ党が大統領選挙資金として三星、LG、現代自動車などの財閥から500億ウォン(約50億円)を不正に受け取っていたことが判明した。 一方、盧武鉉大統領の側近も逮捕され、金額の差こそあれ、不正資金を集めていたことが判明した。 今年に入り、検察はこれまでの裏付け捜査をもとに、不正政治資金を集めたかどで現職議員8人に対する事前拘束令状を出して彼らを逮捕、拘束した。 検察は12日、大統領選挙不正資金授受の容疑で逮捕したハンナラ党の崔燉雄議員に対する令状で、「執権時に不利益を被るとの圧力をかけて数百億ウォンの政治資金を組織的に要求していた」と強調した。 また、「かなり高圧な姿勢で巨額の政治資金を要求してきた」という三星とLG側の陳述や、「当時、院内第1党KT引継ぎ問題(民営化に伴う同社株の取得で、SKが不正な方法で取得したとされる問題)などを引き合いに出し、彼らの要求するとおりに不正資金を出すしかなかった状況だった」とのSKの陳述を公開。政界の腐敗ぶりを暴露した。 こうしたなか、4月の総選挙に出馬しないことを宣言する政治家も増えている。 ハンナラ党の柳興洙、申栄均、鄭文和議員と「開かれたウリ党」の薛松雄議員らは9日、4月総選挙への不出馬を公式宣言した。 柳議員は記者会見で、「2002年の大統領選挙後から引退を考えてきた。時代が求める変化と改革に沿って新たな政治の実現のため、不出馬を宣言し政界を引退する」と述べた。 南のマスコミは、こうした動きを「不出馬熱風」と呼んでおり、今後もこの動きは活発になるだろうと予測している。 腐敗政治の根絶めざす 政界の混乱を受け、市民らは4月に行われる総選挙で政治腐敗を一掃するため動き出している。 市民団体の参与連帯は12日、ソウルで記者会見を行い4月の総選挙の際に腐敗、反改革的な政治家に対する落選運動を公式宣言し、本格的な有権者審判活動に入った。参与連帯はまた、他の市民団体に「2004総選挙市民連帯」の結成を呼びかけており、4年前に行われた総選挙の時のような落選運動の盛り上がりが再現されるかどうかが注目されている。 参与連帯は宣言文で「現在の政治状況は、4年前に市民、社会団体が総選挙市民連帯の旗を掲げた時とあまりにも酷似している」「大統領選挙不正資金事件や廃案の危機にひんしている政治制度改革などを見ながら、腐敗政治の根絶を願う国民の要求を無視できず、悩んだすえに再度落選運動の旗を掲げることを決断した」と明らかにした。 同団体は今月末に前職、現職議員を中心に1次名簿を発表し、2月初めには新人など非現役議員を中心に2次名簿を発表する予定だ。 また、3月中旬に落選運動対象者のリストを発表した後、投票日までの約1カ月間集中的に運動を展開する計画だ。その一方で、今月末までは不正腐敗で連座した議員らが自ら不出馬宣言をするよう、国会で1人デモなどを通じて強く促していく。 反推薦、落選対象者の選定基準として参与連帯は、不正腐敗および選挙法違反行為、改革法案と政策に対する態度、反人権的前歴および憲政秩序の破壊、などを挙げている。特に、「『金権選挙』が確認された候補は理由のいかんを問わず落選運動の対象者とし、当選してもそれを無効化させるための市民行動を展開する」と強調した。 市民団体のこうした動きは、「2000年総選挙に続きもう一度有権者革命を起こすためのもの」(パク・サンジュン参与連帯共同代表)であり、「腐敗した政界が更生のための努力をするどころか、既得権の維持にだけ汲々としてきたことによる自業自得」(リ・ピョンス「開かれたウリ党」広報室長)の結果だと指摘している。 [朝鮮新報 2004.1.16] |