〈広がる北南自治体交流〉 農業、スポーツから科学分野まで |
核問題などにより、当局間交流が本格軌道に乗れないなか、南の地方自治体が独自の判断で北との交流を展開する動きが顕在化している。人道支援の一環として99年、北にみかんを送った済州道を先頭に始まったこうした交流は現在、江原道、釜山市、京畿道、慶尚南道、全羅南道などに広がり、北の特定の道と集中的に交流する「ペア方式」の様相を呈しているのが特徴だ。 【京畿道】今年から、黄海道と開城市をパートナーに人的交流、経済協力事業などを推進することにした。これに先立ち、道の公務員などで構成された訪北団が昨年12月15日から2泊3日の日程で平壌を訪問。実務接触を行い、意見交換を行った。 そしてまず、道内の余剰生産物の提供や医療支援などの人道的支援を通じて信頼関係を構築した後、農機械修理工場建設と移動診療車両の支援、稲作模範農場、養蚕場の造成など農業分野を中心に交流を行っていく予定だ。 また、道立芸術団と北の国立交響楽団の交換合同公演、陶芸家交流、高麗文化圏学術会議の開催も計画している。その一方で、水害防止林造成のための臨津江水系への苗木支援をはじめ北南交流協力団地造成に向け接境地域の開発を推進する。 【釜山市】一昨年のアジア大会開催時に北の応援団が訪問、交流を深めた釜山市は、安相英市長らが昨年8月に平壌を訪問し、北側と協議した経済交流方案を具体化することにした。訪問団は当時、釜山地域の企業が靴、繊維、水産、造船、港湾建設および運営など5つの分野で北と経済交流を進めることを取り決めた経済交流協力意向書を採択した。 また、人的交流として今年10月に釜山市沙下区多大浦に建設される統一アシアード海洋公園の完工に合わせて統一サッカー大会を開催、北の吹奏楽団を招請することも検討している。 【慶尚南道】中国と連携した北南交流を計画している。同道では、93年に姉妹関係を結んだ中国・山東省を介し、黄海南道との交流協力事業を推進中だ。 山東省の党書記が昨年10月24日から2日間の日程で慶尚南道を訪問した際、道側が今年の下半期に3者交流協力会議の開催に協力してくれるよう要請。山東省もこれに積極的に応じた。 【全羅南道】昨年まで市や郡単位での交流が活発だった同道では、今年から道が北南交流協力基金を設立。今年の予算から、1億3000万ウォン(約1300万円)を割り当てた。 一方、道内の22の市、郡は、今年も引き続き農機械の備品を支援することにし細部計画を作成中である。昨年同道では、莞島郡が備蓄のり78万束(2億8000万円相当)を送ったほか、22の市、郡と光州・全南わが民族助け合い運動本部などで構成される全南南北交流協議会が4回にわたって平安南道大同郡に農機械修理工場を建設、支援した。 【江原道】江原道(北)で鮭の孵化場造成にあたってきた同道は今年、スポーツと林業分野で交流、協力事業を展開する予定だ。金振兟知事ら関係者が先月、鮭孵化場の竣工式に参加するため北側を訪問した際に、冬季スポーツの交流、協力のための合意書を取り交わした。それによると、同道で行われる青少年ウィンタースポーツ体験プログラムに北側が参加、冬季スポーツのいくつかの種目で北南の選手が共同トレーニングを実施する。 先月23日、江原道(北)安辺郡で竣工式が行われた鮭孵化場は、総敷地面積1万9800平方メートルで2310平方メートル規模の孵化棟などを備えており、年間500万匹の稚魚を生産する。南が設計と孵化設備、技術指導を担当し、北は施工と建設人力、建設設備などを受け持った。 【済州道】北南自治体交流の先頭を切った済州道は、道傘下機関の漢拏研究所と北の白頭山天池研究所との学術交流を今年から本格化することにしている。初事業としては、6月頃に双方の関係者が共同参画して白頭山探査を行う予定だ。 また、南北協力済州道民運動本部は99年から続けてきたみかんを送る事業を継続する計画だ。 [朝鮮新報 2004.1.9] |