〈実利追求に力注ぐ朝鮮〉 経済復興の土台築く |
【平壌発=姜イルク記者】全般的な経済管理改善措置が取られてから2年の歳月が流れた。朝鮮式社会主義の原則を守りながら最大の実利を追求することを目的とするこの措置は、人々の意欲をかきたてるのに肯定的な役割を果たしており、実利追求が一つの気風になりつつある。 討論が活発に これまで「ただ同然」だった物資や労力に相応の価格が設定された。農村では土地使用料が新たに制定され、水、電力、肥料、農薬、支援労力などの生産費用もすべて「ただ同然」の価格ではなくなった。 土地使用料を支払うようになったため、これまでは畑作を断念していた場所も効果的に利用するようになり、制限された面積で何を植えれば一番実利を得られるのかを考えるようになった。また、学生や労働者など外部からの支援労力に頼らず、自力で解決する方途を探すようにもなった。 一方、農場員は生産しただけの報酬をもらえるようになった。青山協同農場管理委員会のチェ・ヨンホ副委員長(51)によると、経済管理改善措置以後もっとも変わったのは、職場ごとで討論が活発になったことだという。「総収入から生産費用を引いて残った資金は、各職場で自由に使えるようになった。翌年の農業のために営農機械を購入しようなど、討論が活発だ」 科学技術でも実利 実利の追求は科学技術分野でも適用されようとしている。昨年10月に行われた全国科学者、技術者大会では、新たな科学技術5カ年計画(2003−7)を遂行するための方途の一つとして、経済と科学技術を密接に結合させ同時に発展させることが提示された。これは科学技術の成果を価格で評価し「知的商品」として取引させることで、科学技術研究事業でも経済論理を貫徹させることを念頭においているという。
平壌火力発電連合企業所ではすでにその成果が現れつつある。 60年代に操業した企業所の設備は老朽化し、電力生産を正常軌道に乗せるには多くの部分を補修、改良しなければならなかった。特に朝鮮半島エネルギー機構(KEDO)の一方的な重油提供中断により、現存する設備を無煙炭中心の本来の姿に戻すことが求められた。 そのため企業所では金日成総合大学など外部の助けを借り、技術問題の70%は自力で、残りの30%は外部から提供してもらった技術を導入した。重油消費自動測定システム、高圧管の再生利用法、タービンの寿命を伸ばす技術などがそれである。こうした外部からの技術提供もタダではない。 こうした努力により多くの技術的問題点が解決し、現在では昨年より電力生産量が増えたそうだ。 科学技術部門の関係者によると、経済と科学技術の結合体系とその具体的な運営方法はまだ確立されていないものの、今後十分な討議を経て完成させる計画だという。また、科学技術成果に対する価格評価制度が実現すれば、実践的な経済に有用な科学技術を全国に速いスピードで普及できるだろうと見越している。 工場も正常軌道に 90年代後半の「苦難の行軍」というもっとも困難だった峠を越え、電力、輸送、石炭など国の全般的経済が動き始めたことで、国内の多くの工場、企業所も正常軌道に乗り始めた。
たとえば金鐘泰電気機関車工場では、2年前までは電力不足による支障が多かった。ある加工職場では人力で旋盤を回しながら生産していたという。それから2年の間に同工場では524両の客車を生産した(昨年12月現在)。そのうち400台はすでに朝鮮各地を走っている。 一方、平壌市内のいたるところで建設が進んでいる。昨年秋、平壌駅から平壌大劇場に至る栄光通りの補修工事が終わったのを皮切りに、市内の主要通りでも補修工事が活発に行われている。このように、朝鮮では経済復興の物的技術的土台を築く事業が全国民の意欲と創意工夫を凝らして進められている。 しかし、すべてが不足し経済事情が緊張しているのもまた事実で、原油など朝鮮にはない原料が入ってこないことが経済活動に少なからぬ支障を与えている。朝鮮の人々は、この原因を米国の対朝鮮圧殺政策にあると見ている。米国との敵対関係が解消され、周辺諸国との自由な取引ができるようになれば、さらなる飛躍も期待できる。 米国との緊迫した対決を繰り広げながら、朝鮮は勝利を見越して経済復興のための土台を着実に築いている。 [朝鮮新報 2004.1.9] |