03年に創設された短期学部 即戦力となる人材育成を、豊かで力強い同胞社会作りに |
2003年に創設された短期学部(2年制)は、在日同胞を取り巻く環境の変化に積極的に対応し、より豊かで力強い同胞社会作りに貢献できる人材を育成することが目的だ。現在は生活科学科と情報経理科の2学科が設置されている。理論だけでなく、実技、実習、演習を多く取り入れ、資格取得も奨励するなど、即戦力となる人材の輩出をめざしている。来年度からは高齢化社会などの環境の変化に即して、生活科学科に福祉コースが新たに導入される。今号では、短期学部の2学科と福祉コースに焦点を合わせ、その特徴や教育環境などを解説する。来春卒業予定の1期生の思いや抱負なども合わせて紹介する。 設置されている2学科 短期学部には生活科学科と情報経理科の2つの学科が設置されている。(@概要A教育環境B取得を目標とする資格) 生活科学科−衣食住の民族的知識を
@衣食住に関する科学的、民族的知識と技術を総合的に学習し、実践的な生活技術を習得するための幅広い教育実習を行っている。 A調理実習室と総合実習室が用意されており、野菜や花を育てるための専用農園もある。調理実習室には最新調理器具が備えられ、総合実習室はフラワーアレンジメント、裁縫など多様な実習が行えるよう整備されている。 B家庭料理技能検定3、4級、ホームヘルパー2級、介護福祉士(国家資格)、洋裁技術検定初級など。 情報経理科−資格取得重視の教育
@情報処理、経理に関する知識と応用能力を兼ね備えた人材を育成し、各種資格取得を重視した教育を行っている。 Aコンピューター室には25台の短期学部学生専用コンピューターが設置され、常時、インターネットに接続されている。全ての学生たちにEメールアドレスが与えられ、授業時間以外も開放されている。また、学生たちの専門分野資質向上のために、総合的な実習を行えるIT実験室も設けられている。 B簿記検定(日商)、情報処理活用能力検定(J検)、ビジネスキーボード認定試験、マルチメディア検定など。 ▼1期生のコメント 「やりたい事見えてくる」(李鮮華さん、生活科学科) 生活科学科には、高級部を卒業して、何をやればいいのかまだわからなかったり、迷っている人たちが、自分の可能性や道を探すために入るケースが多い。私もその1人だった。 科目の中では、フラワーアレンジメントが楽しかった。また、朝鮮料理や西洋料理などの料理実習では、基本的なことからみっちり学べたので、とても勉強になった。 そのほかにも、たくさんのことを経験した。おそらく、ここに入らなかったら一生経験できなかったり、経験しなかったことも少なくない。いろんなことを広く学べるので、自分が本当にやりたいことは何なのかを見つけることができる。 私は、社会福祉論の授業を通じて、福祉関係に興味を持った。ハンメ(おばあちゃん)と一緒に暮らしていることもあって、将来は、在日高齢者たちの力になりたいと思い、卒業後はこの問題の研究を深めていくつもりだ。 来年度からは福祉コースも導入され、資格取得の道も開ける。可能性はどんどん広がっている。まだ進路問題で迷っている人たちには、ここでさまざまなことを経験、体験してほしい。そうするうちにやりたいことが必ず見えてくるはずだ。 「専門知識深く学べた」(尹賢太さん、情報経理科) 高校卒業後は自営業(PC関係)を手伝おうか迷ったが、そのためにもパソコンや経営などに関する知識をある程度身につけなければならないと思い、情報経理科に入った。イラストや簿記など、さまざまなことを学ぶことができ、とても楽しかったし、将来に役立つ知識を得ることができたと思う。また、経験豊かな先生たちから興味深い話をたくさん聞けたのが、とてもよかった。 そういう過程で、専門知識を深く学べるとともに、なにをやるにも自分の努力次第でどんどん伸びていくというのをあらためて感じた。今では資格取得への道も広がり、そのための充分な環境も整えられている。 短期研修(祖国訪問)でも意義深い時間を過ごせた。それまでは祖国に対してあまり真剣に考えたことがなかったが、現地の人とふれあう中で、祖国のことをもっと知りたいと感じるようになった。専攻とは関係ないように思えるが、在日同胞として将来を設計するうえで短期研修はとても大事なことだと思う。 また、人数が少ない分、先生と学生たちの仲がとても良く、アットホームな雰囲気だ。これも自慢の一つだ。 来年度から福祉コースも−生活科学科に設置 短期学部では、同胞社会において高齢化が進む現状に沿って、専門知識と技術を所有する福祉専門家を養成する目的のもと、来年度より生活科学科に福祉コースを設置する。 2年間を同コースで学べば、「介護福祉士(国家資格)試験」受験資格を取得できるのが第一の特徴。 「介護福祉士」をはじめとする「福祉専門家」の養成専門学校は日本にもたくさんあり、資格取得者も増えているが、同胞社会についてよく知り、同胞高齢者を心から理解し、活動している福祉専門家は多くない。このような事情を考慮し朝鮮大学校では、短期学部の生活科学科に福祉コースを導入することで、多数の「ウリ福祉専門家」の育成を目指している。 ※同コースの学生が「介護福祉士試験」を受けて資格を取得するには、まず入学と同時に通信制の「NHK学園」の「専攻科社会福祉コース(2年制)」に入学することになる。ここで所定課程案を履修し、受験資格を得る。それから朝大2年時の後期に国家試験を受け、合格者は卒業と同時に資格を得ることができる。 また朝大では、「NHK学園」が定める科目履修を同大卒業において必要な単位として換算する。すなわち、費用は朝大での一般的な授業料に含まれるため、NHK学園への余分な金額的な負担はない。 第2の特徴は、「介護福祉士試験」に合格するための教育環境を整えているという点。 通信教育の「NHK学園」は、自習が基本。したがって、合格するには、計画的な学習と専門知識のバックアップが不可欠だ。 短期学部では受験対策のための具体的な計画と時間割を合理的に作成している。 また、学生たちが在日同胞社会と同胞高齢者の生活状況をより具体的に知るために、同胞福祉専門家たちによる特別講義、「NHK学園」の通信教育を受けるための専門授業も設ける。 ★「介護福祉士」とは? 1987年に制定された「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づき新たに制度化された、社会福祉の専門家として認定される日本の「国家資格」。保健、医療、福祉奉仕などの専門知識と技術を兼ね備え、身体的、精神的障害のため自力で日常生活を送ることが難しい人たちに食事、入浴などの介護をするとともに、その家族や介護者(ホームヘルパー)たちの指導も行う。 [朝鮮新報 2004.12.22] |