大阪、奈良、和歌山でサマースクール−民族、国籍、本名テーマにディスカッション |
日本の中学、高校に通う同胞生徒らを対象にしたサマースクールが、今月3日から北関東、東北(3〜5日)、東京(4〜5日)、神奈川(7〜9日)、中四国、九州(11〜13日)、東海、北信(10〜11日)でいっせいに行われた。京都、滋賀ブロックは25〜26日に行われている。大阪、奈良、和歌山ブロック(11〜13日、滋賀県のビラデスト今津)には同胞生徒ら120人が参加した。文化公演や大阪朝鮮歌舞団の公演、キャンプファイヤー、フォークダンス、スポーツフェスティバルなどを楽しみ交流を深めたほか、雄弁大会や班モイムでは「民族」「国籍」「本名」などをテーマにしたディスカッションを通じて「朝鮮人」としての自覚が少しずつ芽生え始めていた。 大きいのは「トンム」
「朝鮮人としての自覚を持てる場所」「境遇が同じ子なので本音で語り合える」−。参加者からこんな言葉をよく耳にした。 東淀川支部学生会の金久美さん(高3)と李美穂さん(高3)は今回のサマースクールで実行委員を務めた。金さんは高校1年から3回目、李さんは中学3年から4度目で最後の参加となった。互いに今年の3月から本名で高校に通っている。 「キヨッターズ」とあだ名がつくほど2人は大の仲良し。中学校の時からの知り合いだったが、「当初はそこまで仲良くはなかった」と口をそろえる。
「本音を語り合える一生離れられない仲」となったきっかけは、学生会活動だった。ささいな事でケンカをした時もあった。けれど、「在日」としての共通点を見出せるようになったという。 金さんは、「サマースクールは『在日』としての意識を共有できる場。ここで出会う子らには特別な思いがある。やっぱり一番大きいのは『トンム(友だち)』だ」と語る。李さんは、「同じようにここで出会う友だちが一番大切。朝鮮の拉致問題とかで『在日』であることを嫌になった事もある。けれどここに『何か』があるから毎年来ちゃう。その『何か』を言葉でうまく表現できないけど、しっかりとした答えを久美と探していきたい」と金さんと目を合わせほほ笑んだ。 「本名で通いたい」
金千晴さん(高3)は、初めての参加が最後のサマースクールとなった。ここに参加することで自分が「在日」であることを自覚したという。 「『在日』って事を受け入れていきたい。ここで出会った友だちとつながりを持って、いろんな人と話をしていきたい」 その金さんを雄弁大会の舞台へ上がらせたのが、河北旭都支部学生会会長の李光世さん(高2)。 中2の時から参加し、今年で4回目のサマースクール。文化公演では朝鮮舞踊を披露した。「在日コリアンの熱い思いをここで知った。舞台で舞踊を踊ったのは、朝鮮のことをここに集まった人たちに知ってほしいから」「朝鮮人として堂々と胸を張って生きていこう」と参加者らに訴えていた。
生野南支部学生会で会長を務める朴泰義さん(高1)。初日の文化公演での演劇で熱演を披露。雄弁大会で熱い思いを語った。 中学2年の時から支部や本部の行事に参加し、学生会活動に取り組んできた。過去の歴史や名前の事などを学ぶにつれ、「自分は朝鮮人」と誇りたいと思い始めた。中2のサマースクールで本名で通おうと決意したが、一歩踏み込めなかった。2学期からは本名で通いたい、それが恥ずかしい事とは思わないと涙した。 「朝鮮人として堂々と生きたい。朝鮮人として生きてきてよかったと思える人生にしたい」(金明c記者) [朝鮮新報 2004.8.24] |