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愛知中高オモニ会、進路問題で座談会開く

 愛知朝鮮中高級学校(愛知県豊明市)オモニ会主催の「進学? 就職? 親たちの座談会―愛知中高を経た卒業生たちの今−」が10日、同校体育館で行われ、同校生徒のオモニたちを中心に教員ら約130人が参加した。座談会では同校の卒業生や進路指導員、日本企業の広報らを講師に招き、オモニたちの大きな関心事である就職問題について話し合われた。

初の試み、真剣な眼

初めての試みに大勢の親たちが詰めかけた座談会(10日、愛知中高体育館)

 朝から記録的な豪雨に見舞われ、電車や車がストップする中で、地元愛知だけでなく長野、静岡、三重や東海各地からかけつけたオモニたちは、初めての試みに少しとまどいながらも、講師の話に真剣に耳を傾けた。

 講師として招かれたのは同校卒業生6人。名古屋市立大学薬学部に入学、薬局に勤めながら漢方を学び、現在は名古屋市内でハーブ調剤薬局を開局する金兌勝さん(38)は、大学入試から就職、転職に至る経験を語りながら、「出会いの原点にはウリハッキョがあった。愛知朝高でいい先生に出会えたことが大きかった」と語った。

 朝鮮大学校政治経済学部法律学科を卒業後、同大研究院に籍を置きながら弁護士を目指す李栄愛さん(22)は、「講師との距離が近いのが朝大の利点」と設立間もない同学科での経験を述べた。また、司法試験の受験資格を得るため日本の大学に通い単位を取得しなければならなかった「ダブルスクール」の苦労を語り、「まずは子どものやりたいことをみつけてあげるのが大事」と語った。

卒業生たちの話に熱心に耳を傾けるオモニたち

 携帯電話の販売などを行う会社で代表取締役社長を務める金孟洙さん(42)。関西大学工学部で土木工学と建築学を学び宅地建物取引主任者に合格、建築事務所に就職後、一級建築士の資格を取得した。以前に飲食店で接客の仕事をしていた男性社員が月に600台の携帯電話を販売した例を挙げ、「何でも執念を持つことが大事。夢を持たなければいけない」と語った。

 ほかにも、専門学校で2級建築士を取得し、現在建築会社で現場監督を務める姜龍洙さん(24)、同じく専門学校で英語を学び、現在ホテルに勤務し朝・日・英の3カ国語を駆使し活躍する鄭理愛さん(20)、朝大時代に朝鮮代表として2002年の釜山アジアサッカー大会に出場し、現在FCコリアで活躍する河貴大さん(23)が自らの経験を話し、「朝鮮学校に送ってくれた親に感謝している」と口をそろえた。

 つづいて、生徒の進路問題を扱った雑誌の制作などを行っている昭栄広報の進路情報センター担当者や、愛知中高の教員らが高校生の進路について、データを交えながら解説した。

 愛知中高進路指導担当の尹光信教員は、生徒自身が自分の進路について考えるように、高1の4月から段階的な指導を行っていることを説明。朝鮮人としての民族的アイデンティティーを守って生きていくという人生観と、その力を備え習得することを進路指導の目標に据えていると語った。

子どものやりたい事を

 じっとりとした蒸し暑さにもかかわらず、講師の話に熱心に聞き入っていたオモニたちは、「朝鮮学校に行ったからといって選択の幅が狭まるわけではない」「子どものやりたいことを、親が一緒になってみつけてあげるのが大事だとわかった」と感想を述べた。

 中3の子を持つ柳さん(東春)は、「朝鮮学校に送るか日本の高校に送るか迷っているが、今日の講義を聴いていろんな道があることに気付いた」と語った。

 岐阜からかけつけた朴さんは、「一昔前の朝高生には部活に没頭して、卒業直前にならないと進路について考えなかった子が多かった」「早い時期から指導に取り組んでいることはいいこと。今日のような講義を子どもたちにもどんどん聞かせてあげたい」と語った。

 ささいなことでも、「(朝鮮学校について)知らない」ということから誤解を抱いているオモニも多い。「卒業生たちがそろって語ったように、ウリハッキョを卒業したからこそ得られる強みがあることをもっとわかってもらいたい」と語るのは愛知中高オモニ会の金英玉会長。座談会の最後に、「立派なコリアンとして生きていける子を育てるオモニになってほしい」と述べると、場内は拍手でわいた。

 愛知朝高学区は愛知を中心に長野、三重、静岡などを含む東海、北陸を網羅している。オモニ会はそれを20の地域に分け、それぞれに役員を置いている。総数は約40人。会議を招集するのさえ難しそうだが、学校、女性同盟とも連携し細かな連絡網を作り、全員に迅速に知らせが届くシステムを構築している。今後は大学、専門学校、留学などの進学、就職に分けて具体的な話し合いの場を設けていくという。

 「子どもたちを教育するのがオモニたちの役割」というのが同会のモットーである。(李泰鎬記者)

[朝鮮新報 2004.7.15]