東京学生会文化公演「TRY」、行われる |
日校在学朝鮮人東京学生会による恒例の第13回文化公演「TRY」が3月27日、東京都北区の滝野川会館で行われた。 サブタイトルは「胸を張っていける強さを育てよう」。出演者らは約400人の日本人同級生、日校生、同胞青年、父母らが見守る中、「コリアン」としての自分の思いを舞台にぶつけた。 公演は「青空」の合唱で幕を開けた。民族衣装に身を包んだ出演者たちは「つらく悲しいときでも胸を張っていける強さを育てよう。そうしたら昨日よりもっと良い明日が訪れる」と、その思いを歌った。 続いて、カヤグム演奏「アリラン」、男声重唱とカヤグム伴奏「ソバンウルソリ」、サムルノリ、民族舞踊が舞台にあがった。 メインは等身大の日校生たちの苦悩、友情を描いた演劇「ノーサイド」。 物語は中学時代の親友キムとリが高校進学を機に別々の道を歩む様子を軸に展開される。高校に進学したらラグビー部に入って「絶対勝とう」と約束する2人。 「朝高」に進学したリは部活、朝青活動と充実した日々を送っていた。キムは「関東学院」に進学しラグビー部の中心選手として活躍するが、チームの予選敗退と「朝高」の快進撃に心を閉ざしてしまう。取り残されたとの思いが自ら壁を作ってしまったのだ。一方「関東学院」ラグビー部マネージャーの木下は通名を使い朝鮮人であることを打ち明けられずに思い悩む。 物語は3人の主人公がさまざまな葛藤をへて自信と友情、「本当の自分」を取り戻す様を描いた。 劇中、彼らは「(朝鮮人であることが)バレてこの生活を失うのが怖い」と感じながらも、「臆病にならず」に「自分の道にトライを決めよう」と誓う。 この思いは演劇出演者にとどまらず、多くの日校生に共通する思いかも知れない。自分の思いを吐露する彼らに観客たちは惜しみない拍手を送った。 公演は「私の宝物」の合唱、学生会卒業生への花束の贈呈で幕を閉じた。 リ役の金永治さん(学生会会長)は、「ぼくらは何も恥じることなどない。差別はあるけど自分から壁を作って苦しまないで前に踏み出そうとみんなに伝えたい」としながら、「高校の友達を3人招待した。みんな『感動した、よかった』と声をかけてくれたことが本当にうれしかった」と胸を張った。(鄭尚丘記者) [朝鮮新報 2004.4.7] |