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〈同胞法律・生活センターH〉 社会保障A

 Q1 私は23歳のフリーターで国民年金の第1号被保険者です。収入が少ないので保険料免除の申請をしましたが、認められず、同居している親に支払う義務があると言われました。親に負担をかけたくないのですが、どうすればよいでしょうか。

 A1 保険料の免除には「法定免除」と「申請免除」があります。生活保護法による生活扶助や障害基礎年金・障害厚生年金等を受けている人は、市区町村役場に届け出れば保険料を免除されますが、これを「法定免除」といいます。

 相談者のように収入が少なく所得が一定以下である人は、市区町村役場に申し出て認められたときに保険料が免除されます。これを「申請免除」といい、原則として前年の所得の額によって免除の可否が判定されます。

 現行の制度では、本人及び世帯主の所得で判断されるので、一定の所得のある親と同居している場合、本人の所得が少なくても保険料免除に該当しなくなります。また、世帯主は世帯の被保険者の保険料納付について連帯して義務を負うことになっているので、世帯主である親が相談者の保険料を支払わなければなりません。

センター相談員紹介−韓鐘哲さん(社会保険労務士ファイナンシャルプランナー)
 現在の社会保険制度である、健康保険、介護保険などの医療保険制度と国民年金、厚生年金保険などの年金制度は、私たち同胞にも適用されます。

 これらの制度は、それぞれの人生設計(ライフプラン)を考えるとき、決してはずすことができない重要な制度ですが、その内容は毎年のように改正され、大変複雑になっています。

 わかりにくい制度ですが、一人でも多くの同胞が興味を抱き、有効に利用できるよう、今後も活動したいと思います。

 ところが、2005年4月から、30歳未満の若年者に対して、保険料納付猶予制度が新しく導入されることになりました。就職困難、失業等により、若年者が未納となって、将来無年金・低年金となることを防止するためのものです。30歳未満の人に対して、保険料の納付を猶予し、負担できるようになった時点で後払い(「追納」という)できる制度です。

 この制度の内容をまとめると次のとおりです。

 @20歳代の第1号被保険者であって本人及び配偶者の所得が基準(全額免除の基準(※)と同額)に該当すること(世帯主の所得は判断の対象外)

 A納付猶予期間は、年金の受給資格期間に算入されますが、年金額の計算には反映されないこと(単なる「カラ期間」となる)

 B納付猶予期間について、10年間は追納ができるものとし、追納された場合は保険料納付済期間とされること

 C納付猶予期間中に重い障害状態となったり、死亡した場合には、障害基礎年金または遺族基礎年金が支給されること

 Dこの納付猶予制度は2005年4月から2015年6月までの10年間の時限措置とすること

 (ABCは学生納付特例制度と同様です)

 ※全額免除の基準も見直しが行われ、2005年4月から所得要件が緩和されるので、直前の市区町村の公報などに注意してください。

 Q2 もし、申請するのを忘れ「未納」となったら、どんな不都合が生じるのでしょうか。

 A1 もし、申請するのが遅れても、2006年6月までの申請分に限って、2005年4月までさかのぼって承認されます。2006年7月以後は、申請した月から7月にさかのぼって承認されることとなります。なお申請は、免除や学生納付特例と同じく、毎年行われなければなりません。

 若年者でも支給される年金が障害基礎年金と遺族基礎年金です。要件を満たせば、加入期間にかかわらず、老齢基礎年金の満額(79万4500円−2004年度価額)以上の年金を支給されますが、未納期間が加入期間の3分の1以上あると支給されません(2016年3月31日までは、特例として、前1年間に未納期間がなければ支給されます)。

 また、就職して厚生年金に加入しても、障害厚生年金、遺族厚生年金は、前述の国民年金の保険料納付用件を満たさなければ支給されません。未納期間があると、厚生年金加入直後の障害、死亡に対しては年金が支給されない場合があります。

 老後、または障害、死亡という不測の事態が起こった時に無年金とならないよう、納付猶予制度を利用し未納期間を作らないようにしてください。(金季先、NPO法人同胞法律・生活センター)

[朝鮮新報 2004.12.25]