NPO法人「アリランはんしん」運営 デイサービス施設オープン |
「故郷に戻ったような空間」すべての同胞訪れる場に NPO法人「アリランはんしん」が運営する同胞高齢者のためのデイサービス施設(兵庫県西宮市)が23日、オープンした。同日に行われた開業記念式典には、同胞、日本人ら約250人が参加した。 オンドル、カラオケも
式典では、関係者らによってオープニングベルが鳴らされ、同施設内が披露された。 総聯兵庫・西宮支部の一階、200m2を改修して建設された施設には、オンドルが完備され、民謡が歌えるカラオケが設置されている。サービスが始まれば、チャンゴや朝鮮の踊りを楽しみ、朝鮮料理がもてなされるなど、まさに「故郷に戻ったような空間」となっている。 市内の芦乃湯会館で行われた2部では、「アリランはんしん」の康永洙理事長があいさつし、経過報告を行った。 また、山田知・西宮市長、総聯兵庫県本部の李文伊委員長、民団兵庫の鄭甲一代表が祝辞を述べ、京都コリアン生活センター「エルファ」の鄭禧淳理事長が記念講演を行った。 続いて行われた祝賀宴では、関係者らがスピーチを行い、兵庫朝鮮歌舞団らが公演を披露した。 幾度の苦難乗り越え
「アリランはんしん」は、▼在日同胞高齢者、障害者福祉の増進▼子どもの健全育成▼国際交流を目的として2月に設立。5月にNPO法人として承認され、7月に訪問介護の、12月にデイサービスの介護保険指定事業所として認可された。 名称には、すべての在日同胞が訪れることのできる場を提供しようという思いから、朝鮮民族を象徴する「アリラン」を用いた。 さらに、西宮地域同胞の心の拠りどころであった阪神朝鮮初級学校(2001年3月、尼崎朝鮮初中級学校に統廃合)から「はんしん」の響きを受け継いだ。民族教育を守り、支えてきた1世同胞たちの恩に報い、「同胞たちの新たな心の拠りどころ」「学校の生まれ変わりの存在」にしようとの思いが込められている。オープニングでベルが鳴らされたのも、学校で鳴る鐘にちなんだもの。 1948年、4.24教育闘争の「現場」であったこの地域、95年には大震災の「現場」にもなった。苦難の中、同胞たちが力を合わせて同胞社会と学校を守ってきた歴史が刻まれている。「現場」でのさまざまな苦難を乗り越え、この日を迎えた喜びに、同胞たちの涙は止まらなかった。 心おきなくくつろいで
同胞高齢者、障害者のためのデイサービス施設は、県内初となる。日本の施設では言葉が通じず、食事も口に合わないなど、満足いくサービスを受けられなかった同胞たちもいる。吹き荒れる朝鮮バッシングに対する怒りを日本人ヘルパーにぶつけてしまう人もいたという。 ハラボジ、ハルモニたちは、心が通じる同胞ヘルパーがいることが一番うれしいと語る。その喜びを、ハルモニたちのオッケチュムが如実に物語っていた。 咸花子ハルモニは「『アリランはんしん』の話を聞いて涙がでた。とてもうれしい」と感激していた。 兵庫長寿会の梁相鎮会長は「一人でも多くの同胞がこの施設の恩恵を受けられれば」と語った。 同施設は、西宮市だけでなく、尼崎市、芦屋市などを含む広い地域を対象とする。県内の同胞たちの期待は大きい。演壇に登った人たちは、「みんなで力を合わせて発展させていこう」と口をそろえた。 「アリランはんしん」の李圭祥事務局長は「これまで一番苦労してきた1世たちに、心置きなくくつろいでもらえるような場にしていきたい」と抱負を語った。(李泰鎬記者) ※同施設のサービス開始は来年の1月7日から。営業日は月、火、木、金の午前10時から午後3時まで。現在、通所介護と訪問介護の利用者を広く募集中。ヘルパーとボランティアも同時に募集している。問い合わせ=事務局(TEL 0798・65・2106)。 [朝鮮新報 2004.12.25] |