〈同胞法律・生活センターG〉 社会保障@ |
Q 会社員の妻(1954年12月生)です。夫は結婚当初(1984年4月)から、ずっと厚生年金に加入しているので、私は国民年金の第3号被保険者なのですが、年金の加入歴を見ると、かなり空白の期間があります。なぜなのでしょうか。 A 相談者のように、第3号被保険者期間に空白のある人は少なくありません。 国民年金において、被保険者は保険料の納め方により分類されます。自営業者等で、本人が保険料を納める人は、第1号被保険者、会社員等で、勤務先が本人に代わって保険料を納める人は第2号被保険者となります。第3号被保険となる人は、第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の妻又は夫)です。第3号被保険者の保険料は、配偶者が加入する厚生年金、共済組合が納めます。つまり、その保険料は配偶者から徴収されるのではなく、第2号被保険者全体で負担するというものなのです。第3号被保険者の届出は、2002年9月以前は配偶者の勤務先が行うのだと思っていた人も多く、届出しなかった期間について空白が生じたのでしょう。 このようにして、保険料を納めた期間を「保険料納付済期間」(A)といい、保険料の免除を受けた期間を「保険料免除期間」(B)といいます。年金額には反映されない「合算対象期間(カラ期間)」(C)があります。在日同胞(永住権あり)の場合、@1961年4月1日〜1981年12月31日に20歳以上60歳未満の期間、1986年3月31日以前に会社員等の扶養配偶者であった期間、1986年4月1日〜1991年3月31日に学生であった期間などが「カラ期間」としてカウントされます。
65歳以上で受け取る老齢年金は、(A)+(B)+(C)が25年以上なければ支給されません(生年月日による短縮あり)。 相談者の年金の加入歴を図にしてみました。「カラ期間」が計9年と保険料納付済期間が4年です。60歳まで保険料を納めつづけても、9年+4年+10年=23年なので、現行の制度では、60歳以後2年間任意加入しないと老齢年金はもらえません。 ところが、今回の年金法の改正により、相談者のような第3号被保険者期間の未届期間について、2005年4月1日以後、特例届出が認められることになります。1986年4月1日〜2005年3月31日の第3号被保険者の届出漏れ期間について、特例届出を行えば保険料納付済期間とする特例措置を講じるというものです。 相談者が2005年4月1日以後に、特例届出を行い、空白の期間が保険料納付済期間と認められれば、任意加入しなくても老齢年金を受け取ることができ、将来、受け取る年金額も増えることになります。 すでに65歳以上で、厚生年金等をもらっている人も、特例届出を行うことができ、届け出た月の翌月から、基礎年金部分の年金額について改定が行われます。さかのぼって支給されることはないので、すでに受給している人は、4月中に届出を行った方がよいでしょう。 Q2 夫は、何度か転職していて、過去に勤務していた会社には、既に廃業しているところもあるのですが、その場合、どうなるのでしょうか。 A2 すでに廃業している場合でも、配偶者の年金手帳又は、基礎年金番号で確認出来るので、大丈夫です。年金手帳を紛失しても、会社の所在地、名称がわかれば確認することはできます。ただし、同胞の場合、通称名を使用したり、氏名の読み方が違う場合もあるので、窓口で確認する必要があるでしょう。 この特例届出の形式や窓口等については、今後の新聞、市区町村の公報等の情報に注意してください。(金季先、NPO法人同胞法律・生活センター) [朝鮮新報 2004.12.14] |