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在日朝鮮人歴史研究所 呉亨鎮所長に聞く、在日朝鮮人運動と総連の歩み後世に

 5月に行われた総連第20回全体大会では、総連中央直属の「在日朝鮮人歴史研究所」(以下歴史研究所)の新設を決めた。さる10月1日から朝鮮出版会館(東京都文京区)で活動を開始した。同研究所の呉亨鎮所長に話を聞いた。

総連中央直属の組織として新設

 Q 歴史研究所設立の目的と活動内容は何か。

 呉亨鎮 周知のとおり、総連20全大会では2005年に迎える祖国光復60周年と総連結成50周年を全組織、全同胞挙げて盛大に祝うための大衆運動を提起するとともに、総連中央直属の歴史研究所新設の決定を発表した。

 この決定を受けてわれわれは20全大会以降、一定の準備過程を経た後、事務所を朝鮮出版会館に定め、10月1日から活動を始めた。現在、専従メンバーは私を含め4人だ。

 設立の目的は、金日成主席と金正日総書記の指導のもと、半世紀以上あらゆる困難と試練を乗り越え勝利の道を歩んできた在日朝鮮人運動と総連の足跡を記録した史、資料を収集し、それを整理、研究して活動家や同胞、とくに若い世代に伝えることだ。先代たちの、愛族愛国の歴史を広く知らせていこうというものだ。

 Q 現在、総連では20全大会決定を遂行するための8カ月運動を全組織挙げて展開しているが、この運動期間の主な目標は何か。

  二点ある。まずは、祖国光復60周年と総連結成50周年を迎えるにあたって、解放前の資料や、とくに解放後の在日朝鮮人運動と総連の活動に関する歴史的な文献と資料の収集、整理、保存と記録に力を注ぐことだ。

 第2に、総連結成50周年に際して、@在日朝鮮人運動と総連の活動を反映した写真史料集の編集出版、A総連の活動内容と主要年表などを含む便覧「総連」改訂版の発行と記念ビデオの作成などを計画している。

貴重な資料が散失簡単でない収集

 Q 所長としての感想は?

  所長に就任して何カ月も経っていないので、総合的な感想を述べるにはまだ早いが、以下の二点についてははっきり言えると思う。

資料の整理、保存問題等について連日討議を重ねる研究所メンバー(左端が呉亨鎮所長)

 一つは、遅れた面は否めないものの、新たな世紀に入った総連組織と同胞社会が愛族愛国の業績と伝統を後の世代にきちんと伝えていくうえで歴史研究所の発足は正しい措置であったということだ。実際、活動家や多くの同胞らが研究所の設立を支持してくれている。

 この短い期間に、すでに100人近い活動家や顧問、研究者らが訪れ助言してくれたし、地方からも問い合わせや激励の電話が届いている。

 もうひとつは、切実に感じていることだが、在日朝鮮人運動に関する史、資料の収集が決して簡単ではないということだ。

 もちろん、在日朝鮮人運動を先頭に立って切り開いてきた総連が保存してきた資料は少なくない。とくに、総連映画制作所が解放後から今日に至るまでの長い間に撮影した記録映画フィルムは、総連だけが持っている貴重な歴史的財産と言える。

 しかし一方で、長い歳月が流れ、1、2世の活動家、熱誠者たちが亡くなっていったばかりか、資料管理を系統立てて行ってこなかったために、少なからぬ貴重な資料が散失してしまった。

 総連が大切に保管してきた解放前の資料、朝聯、民戦時代の資料や総連初期の原資料も、米占領軍(GHQ)と日本当局によって朝聯が強制解散させられた際に押収されたままだ。また、1960年6月には放火によって東京・信濃町にあった朝鮮会館が焼失、資料も失った。

 そのため、歴史研究所で今、最も力を入れているのが歴史資料の収集だ。各方面にも協力を訴えている。すでに貴重な資料を提供してくれた人もいる。

代を継いで維持されるべき活動

  本紙読者に伝えたいことは?

  歴史研究所の活動は、過去の歴史を研究することだけに止まらず、総連20全大会決定で明らかにされた総連と同胞社会の未来像を実現するうえで参考となる資料を収集し研究することだ。

 とはいえ、始まったばかりなのでいろいろ大変なことも少なくない。多くの人々の知恵と力、アドバイスと支援が必要だ。

 私は、本紙読者に当面3つの点をお願いしたい。

 一つは、歴史資料の収集に積極的に協力してほしいことだ。とくに、解放前と朝聯、民戦時期をはじめとする総連結成初期の歴史的価値ある文献、写真、映像資料、各種宣伝教養資料などをお持ちの方は、ぜひ知らせてほしい。貸してくださっても構わないが、提供してくださるなら名前を明記して大切に保管し有効に活用していきたい。

 第2に、歴史研究所の発展と維持に助けとなるアドバイスと支援をいただきたい。

 一部には研究所の活動が来年の総連結成50周年を機に終わると思っている向きもあるが、決してそうではない。在日朝鮮人歴史研究所の活動は、在日同胞と総連が存在する限り、代を継いで引き続き維持されるべき意義あるものだ。それだけに、物心両面での協力を求めたい。

 第3に、祖国光復60周年、総連結成50周年を前に、総連の各級機関、団体、事業体、学校、分会単位で「沿革資料」や「回顧録」、写真アルバムなどを作成し、後代に残す対策を立ててほしい。

 今後も歴史研究所の活動により多くの関心を向けてくださることを期待する。(整理=文聖姫記者)

※在日朝鮮人歴史研究所:住所 〒112―8603 東京都文京 区白山4―33―14朝鮮出版会館10階 TEL 03・5805・3551 FAX 03・3813・1955 Eメール=korea-ih@air.ocn.ne.jp

[朝鮮新報 2004.11.27]