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同胞男女 今どきの結婚観、結婚相談所のアンケート結果から

 同胞結婚相談所では、設立10周年を控えた昨年4〜9月の6カ月間にわたって、37の都道府県で結婚に関するアンケート調査を実施した。19歳から36歳まで、未婚在日同胞男性314人、女性261人、計575人から回答を得た。このうち朝鮮籍は435人、韓国籍は132人、日本籍は8人で、民族教育を受けた者が465人と全回答者の85%を占めた。ほとんどが「総聯系」、またはその影響下にある人で、民族性も比較的高いと思われる。相談所によるアンケート分析結果を紹介する。今どきの同胞の結婚観を垣間見れて興味深い。

96%が「結婚するつもり」

 今回の調査でまず言えるのは、在日同胞の結婚に対する願望が強いことだ。

 設問1で、「結婚するつもり」「いずれ結婚するつもり」と答えた人は555人で、全回答者の95.2%を占める。

 設問2では、「ある程度の年齢まで結婚するつもり」と考えている人が約半数の47.9%。設問11では「25歳まで」と「30歳まで」を含めると64.1%が20代での結婚を望んでいる。ただ、設問2を見ると、「理想の相手が見つかるまで結婚しなくても構わない」という人は44.6%。結婚願望はあるが、相手はあくまで自分で選ぶという傾向が強いことがうかがえる。

 結婚の利点については、「あると思う」が72.6%。理由としては、「子どもや家庭を持てる」「精神的安らぎの場が得られる」「愛情を感じている人と暮らせる」の順となっている。

学校での出会いが一番

 今回は、回答者のほとんどが民族意識の強い人ということもあって、同胞同士の民族結婚を望む人が多かった。

 同胞との結婚を望む割合は「必ず」と「できれば」を合わせると実に509人。全回答者の87%にもなる。

 「第3回在日韓国人青年意識調査中間報告書」では「ぜひ結婚したい」が15%で、「できるだけ同胞と結婚したい」も20%。世代が同じでも民族意識の強弱によって意識が大きく違っている。

 当然、交際相手も同胞が多い。設問7〜10を見ると、「恋人、友人として交際している」異性は46%で、相手が同胞と答えたのは86.6%にのぼる。交際相手と知り合ったきっかけは、「学校で」「友人、兄弟姉妹を介して」「職場や仕事を通じて」「サークル、習い事」などの順。

 前述の「韓国人青年意識調査」では、「同胞との交友願望」については「とても欲しいと思う」「やや欲しいと思う」を合わせると69%が肯定的だが、「日常の交際対象」では「日本人しかいない」が32.8%、「日本人の方が多い」が43.6%で、同胞との交際意思はあっても、なかなか環境が整わない状況が伝わってくる。

「資金が足りない」男性も

 アンケートからは、回答者たちが結婚問題について真摯に考えていることが伝わってくる。設問12で「独身にとどまっている理由」を3つまで挙げてもらったところ、「適当な相手に巡りあわない」「まだ早すぎる」「自由や気楽さを失いたくない」「必要性を感じない」「仕事(研究)に打ち込みたい」の順となっている。

アンケート設問項目

設問1  自分の一生を通じて考えた場合、結婚に対する考え方は?
設問2  いずれ結婚すると考えた場合、結婚に対する考え方は?
設問3  今のあなたにとって結婚することは利点があるか、ないか。
設問4  利点があると考えた場合、次の項目の最大2つまで上げて。
設問5  独身生活の利点があると考えた場合の理由は?
設問6  結婚しようと思う相手は同胞? それとも日本の人?
設問7  現在、交際相手はいるか?
設問8  交際相手は同胞? 日本の人?
設問9  恋人とは結婚したい?
設問10 知り合ったきっかけは?
設問11 何歳くらいで結婚したい?
設問12 独身にとどまっている理由は?
設問13 どのような形の結婚を望むか。
設問14 結婚相手を決める時の重視度は?
設問15 同胞男女の出会いの場が必要と思うか?
設問16 同胞結婚相談所のような事業体が必要と思うか?
設問17 結婚の相談を第3者に依頼したことがあるか?
設問18 17で「ある」と答えた方、どちらに依頼したか?
設問19 17で「ない」と答えた方、同胞結婚相談所に依頼したいと思うか?
設問20 19で「ない」と答えた方、同胞結婚相談所システムで重視する点は?
(※回答は省略)

 男性の回答者の中に「結婚資金が足りない」「結婚後の生活で経済的な自信がない」との理由を挙げた人が23.5%いることは、深刻に考えるべきだろう。

 設問15「同胞男女の出会いの場が必要と思うか」という問いには、82%が「必要」と答えている。同胞男女が出会える場を構築することは、同胞社会全体の重要課題とも言える。

 設問14では「結婚相手を決める重視度」を選んでもらったが、人柄、価値観、民族性、経済力、親との同居、容姿、居住地域、共通の趣味、職業、学歴の順となった。男性の93.6%、女性に至っては実に98.5%が「人柄」をトップに挙げた。

 「同胞結婚相談所のような事業体が必要だと思うか」との問い(設問16)には、83.5%が「思う」と答えた。しかし、「同胞結婚相談所に依頼したいと思うか」では46.4%が「思わない」と答えており、その理由として「お見合い相手の定期的な紹介」「秘密厳守」「本人の希望を重視」などを挙げている。

 今回のアンケート調査を通して、未婚、晩婚化が進む日本社会の中で同胞男女の結婚願望は強く、同胞同士の結婚、出会いの場を望んでいることが見えてきた。

 「同胞結婚相談所は彼らの要望にきちんと応えられる拠点としてのシステム作りを本格的に進める一方、在日の各民族団体や個々人などが一体となって民族結婚を支援する態勢を整える必要がある」と同胞結婚相談中央センターの魏正所長は分析している。(整理=文聖姫記者)

[朝鮮新報 2004.11.13]