top_rogo.gif (16396 bytes)

同胞法律・生活センター連続講座「知って得する暮らしの法律・パート2」−第2回目「暮らしの中の今どきの金銭トラブル」

 在日コリアンのための知って得する暮らしの法律・パート2の2回目「暮らしの中の今どきの金銭トラブル」が16日、東京都台東区のNPO法人同胞法律・生活センターで開かれた。講師は同センター所長でもある弁護士の洪正秀氏。最近急増している「オレオレ詐欺」などの実態や借金をめぐるトラブル、その対策などについてわかりやすく解説した。洪氏の講演内容のポイントを紹介する。

詐欺対策

洪弁護士の講演に熱心に聞き入る参加者

 オレオレ詐欺はものすごい勢いで広がっている。警視庁管内だけでも昨年6504件発生。被害総額は43億円になる。今年は1月から7月までで、すでに7623件、被害額は77億円に上る。

 しかも、非常に巧妙化している。朝日新聞7日付によると、ニセ警官の登場など新たな手口が編み出されており、詐欺の文言も交通事故をでっちあげたり、消費者金融への返済や妊娠中絶費用を求めたりするなどさまざま。被害者は40歳以上の女性に集中している。

 女性の被害者が多いのは、昼間一人でいることの多いのが女性だからではないか。一人でいる際にこうした詐欺に遭遇すれば、パニックに陥ってしまいがちだ。

 インターネットの有料サイトなどをめぐる架空請求も社会問題化している。

 送られてきた督促状などを見ると、会社の住所や代金が書いてなかったり、文章に矛盾する表現が多いなど、少し考えればおかしいことに気づく。だが、多少後ろめたいことがある人なら、つい業者に電話してしまう。そのおかげで恐喝などを受けるはめになる。また、驚いてお金を払ってしまう場合もある。

 対策としてはまず、オレオレ詐欺でも架空請求でも、絶対に一人で行動しないことだ。業者に電話やメールを返信したり、あるいは送金する前に誰かに相談する。例えば妻なら夫に相談する。そうすれば、ありえないことだとわかる。

 架空請求に対しては、@利用していなければ払わない=無視するA最寄りの消費生活センターへ相談するB電話などをして、これ以上、電話番号などの個人情報は知らせないC警察に被害届けを出す−などの対策が考えられよう。

 とくに、消費生活センターでは親身になって相談に乗ってくれ、良いアドバイスをくれる。ほぼそれで解決できるだろう。

借金

 借金とは法律用語で消費貸借契約という。借金には利息がつきものだが、かつては利息に制限はなかった。しかし、後に利息制限法が作られた。これによると、借金10万円未満の場合、年利は20%、100万円未満は18%、それ以上は15%だ。だが、サラ金などはこの限度額を超えていることが多い。

 この面での対策としては、利息制限法を超えるお金を借りないことが肝心だ。

 借りる場合は、公的機関や銀行など、低利のところを選ぶ。その際、保証人はつけない。万が一借金を返済できなくなった場合、保証人に迷惑をかけることになるからだ。とくに、連帯保証人の場合は主債務者と同等の立場になるから要注意。

債務整理

 では、借金を返せなくなった場合、どのようにその債務を整理するのか。

 債務整理の方法には、@任意整理手続きA破産、免責手続きB個人再生手続きの3つがある。

 任意整理手続きは、債権者に法的に必要な限度でお金を支払う方法。弁護士が中に入り、法定利息より上の金利を安くさせ、支払い回数を増やすなどして、借金を整理する。

 借金返済で最も良い方法だ。全額返し終えた後には、逆に返済者の信用が上がっていたりする。

 Aの破産、免責手続きは、債権者にお金を支払わないで済ませる方法だ。多重債務者のような支払い能力のなくなった人間に、その申請に基づき裁判所は破産、免責手続きを取る。破産から免責に至るまでにかかる期間は約3カ月。自己破産手続きは、弁護士を介さずとも自分でもできる。

 Bの個人再生手続きは、借金で苦しむ人のために新しい救済手段として、2001年4月より導入された。

 任意整理手続きもできず、破産も嫌だという場合、個人再生を利用する。例えば、500万円の借金のうち100万円を3年間で返済するという再生計画案を立て、これが裁判所によって認可され、その計画どおり返済すれば、残りの400万円の債務は免除されるというもの。ただし、現実問題としてはなかなか厳しい。(整理=文聖姫記者)

 ※次回は11月13日(土曜日)午後2時から、同胞法律・生活センター。テーマは「使いこなす介護保険」、講師はケア・マネージャー、住環境コーディネーターの林瑛純さん。

[朝鮮新報 2004.10.19]