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〈同胞法律・生活センター@〉 住まいサポート

深刻な入居差別

 「衣食住」という言葉があるように、古今東西、人間が生活するうえでこの3つは絶対に欠かせないものと言えます。

 しかしながら、このうちの「住」については財産的価値が高いだけにトラブルの種になることも少なくありません。また進学、就職、結婚といった人生の節目、節目に賃貸アパートを探すことは誰しもが経験するようなことですが、在日同胞への入居差別は過去においてもそして今日においても深刻です。

 「朝鮮籍の人は入居お断り」「韓国籍の方にはテナント貸しはしたくない」−ここ最近センターに寄せられた相談の中にも、こういった偏見による露骨な差別を受けたという内容のものがありました。

 そもそも国籍や民族、また皮膚の色によって入居を認めないというのは法律上も許されるものではありません。

 在日外国人への入居差別に対しては、1993年に大阪地裁が家主に損害賠償を命じた「ペ・ゴニル裁判」があり、最近では昨年1月に、さいたま地裁がインド人に対して執拗に皮膚の色を問いただした不動産業者に対し、損害賠償を命じる判決を出しています。

 またここ数年は、外国人であることを理由に入店を断った静岡県浜松市の宝石店や、入浴を断った北海道・小樽の銭湯が人種差別だということで損害賠償を命じられるような裁判例もあり、露骨な差別であれば「出るところに出れば」勝てる公算がきわめて高くなってきています。

 しかしながら、実際には裁判まで起こして問題解決を図るというのは、さまざまな理由で難しい場合が多いのも事実です。

行政への啓発も

センター相談員紹介−張學(★金偏に柬)弁護士

▲経歴
63年京都生まれ
83年に京都大学工学部入学
86年中退
87年に東京大学文I入学
91年に東京大学法学部卒業
95年末まで語学学校で日本語教師、民族運動にも励む
97年に司法試験合格
00年から弁護士として活動
02年からみどり共同法律事務所に勤務
04年3月からセンター相談員に

▲専門分野
 外国人事件、医療過誤、刑事事件、交通事故など

▲抱負・メッセージ
 同じコリアンということで気軽に話せるからか、ニューカマーの相談も多い。相続問題などが多いようだ。今後、在日コリアン固有の問題を扱えるようになれるといい。

 このような現実に対応し、当センターではこのたび、同胞たちに実効性のあるサポートを保障していくことを目的に住まいサポート部門を立ち上げ、住まいに関する相談、支援活動を精力的に行っていくことになりました。

 協力不動産業者と連携し、同胞がスムーズに希望する物件を探せるようにする入居支援、とかくネックとなる保証人問題解決のためのアドバイス、露骨な入居差別や欠陥住宅、境界線、日照権といった問題についての法的サポート、高齢者や障害者のための屋内リフトの設置における行政による補助制度の利用方法など福祉住環境整備のためのアドバイス、また新築、増改築時の留意点についてのアドバイス等、入居支援をはじめ、住まいに関する様々な悩みに応えていきたいと考えています。

 住まいサポート部門では、この間、神奈川で外国籍の人たちの住まいサポート活動に取り組んできた「安さんを責任者に、1級建築士や福祉住環境コーディネーター、不動産業者といったメンバーでこの活動推進のための計画立案、準備を進めてきました。そして今月1日より正式にサポート活動を開始しました。

 当センターでは今後、サポート活動の充実化とともに行政にも入居差別を無くすための啓発活動や入居支援に取り組むよう働きかけていこうと考えています。

 ※なお、この活動をより充実したものとするためにはより多くの不動産業者や家主の協力、「ニューカマー」のための通訳ボランティアが必要です。ご協力いただける方はぜひ、ご連絡ください。【金東鶴、NPO法人同胞法律・生活センター TEL 03・5818・5424、tonposoudan@yahoo.co.jp】

 ▼相談時間 センタースタッフを基本にしながらも、必要に応じて弁護士、建築士、福祉住環境コーディネーター、宅地建物取引主任などといった各分野の専門家による対面相談も。電話相談は午前10時〜午後5時(平日)、対面相談は午後1時30分〜午後5時(平日)。※対面相談はこの時間帯が基本だが、土曜日や午前中、また夜間でも事前に連絡すればできる限り対応できるよう努める。対面相談は電話申し込みのうえで。

 ▼対応言語 日本語、ハングル。英語による対応も可。

 ▼対象 所属、国籍、在留歴、思想、信条を問わず全ての同胞(コリアン)。

[朝鮮新報 2004.10.5]