「水滸伝フィーバー」 |
「昨日の『水滸伝』見ましたか?」 最近取材先で、半ばあいさつ代わりにこの言葉を交わすことがよくある。 朝鮮中央テレビで9月初旬から毎晩放映されている連続ドラマ「水滸伝」が、市民をとりこにしているのだ。 中国の作品なのだが、字幕付きでテンポもよく、アクションシーンもふんだんに盛り込まれていて非常におもしろい。朝鮮の各新聞にも「水滸伝」に関する記事が載るほど。 それにしてもこのドラマ、人気というレベルを通り越してひとつのブームとなっている。番組が放映される夜8時半から10時までの間、支局が置かれている平壌ホテルからは人影が消える。「人々がこんなにテレビの前にかじりついて見るドラマは久方ぶり」と、ある従業員は話す。 平壌だけかと思ったら、元山でも「水滸伝」の話で盛り上がっていたのには驚いた。中国の宋代、それぞれの事情を持ったちょっと乱暴だが義理に厚い男たちが、封建支配層の理不尽な圧政に抗し立ち上がる。朝鮮も昔から支配者の暴圧に立ち向かいたたかってきた歴史を持つだけに、この痛快なストーリーが人々を熱中させるのだろう。 作中にはきわどいシーンも時折り描かれ、「これ本当に放送していいの?」と思うこともしばしば。 しかし、さまざまな現場を取材していて思うことでもあるが、人々は自身のしっかりとした見解を持って、外国のものを受け入れているので、そう過敏になる必要もないのだろう。 記者も熱烈な「水滸伝ウォッチャー」のひとり。ぜひ最終回まで見届けたいのだが、平壌滞在の日数が残り少なくなってきた今、その願いは叶いそうにない。 一日2話ずつ放送されているこのドラマ、一体いつ終わるのか。 ともあれこの「水滸伝フィーバー」、当分の間は続きそうだ。(相) [朝鮮新報 2004.9.27] |