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ボクシングと民族教育

 朝鮮大学校の体育館の傍らで、焼肉の煙がもうもうと立ちこめる場所を発見。在日朝鮮学生中央体育大会最終日(3日)のことだった。

 東京朝高ボクシング部後援会が主催し、東京、大阪、神戸、広島、九州朝高のボクシング選手、大会役員、関係者約80人が参加した焼肉パーティーだ。体重制限から解放された選手らがおいしそうに頬張る姿が印象的だったが、大勢で七輪を囲みながら野外で焼肉をする光景にびっくりしていた大会スタッフの姿も印象的だった。そのスタッフとは初老の日本人。まったく初めての経験だと言う。異文化に接していたようだった。

 彼の驚く姿から、在日朝鮮人社会では当然だと受け止められている「異文化」についてあらためて振り返ってみた。彼は、過剰なくらいに礼儀正しい選手らの姿にも驚いていた。

 試合後、選手はへとへとになっても応援に駆けつけたOB一人ひとりに駆け寄っては両手を合わせながら、きちんとあいさつしていた。

 東京、大阪などのボクシング部は、朝鮮学校に全国大会の門戸が開かれた94年から毎年のように選手を送り出してきた。今年は大阪の選手が優勝、学校対抗団体部門でも3位に食い込むなど、好成績を収めている。

 ボクシングが朝鮮人の気質に合っているなど、その要因についてはさまざまな分析があるが、礼儀作法の面はまちがいなく民族教育の成果ではないかと思う。

 武道は、礼儀に始まり礼儀で終わると言われるくらい、礼儀作法が強調される。インターハイ常連校などの強豪校の選手は例外なく礼儀正しく、規律もしっかりしている。

 朝鮮学校の公開授業に参加した日本人の多くの感想が、「生徒らの礼儀正しさに感嘆した」と言うように、礼儀を重んじる土壌がすでにできているのも朝高の強みではないか。(姜)

[朝鮮新報 2004.9.21]