留学同近畿、東海ブロック−合同サマーセミナー「マダン2004」 |
台風が見舞うなか、留学同近畿、東海ブロック合同サマーセミナー「マダン2004」が3〜6日にかけて、奈良県の国立曽爾少年自然の家で行われた。参加した学生たちは、同胞社会を取り巻く現況などに関する講義を受け、自分の存在や「生き方」について考え、活発に議論し交流を深めた。参加者は近畿、東海地方の大学、専門学校に通う同胞学生。朝鮮学校出身者もいれば、日本の学校の出身者もいて、意見はさまざまだった。 日本人として生きることは差別を容認すること 京都朝高出身の金相賢さん(京都精華大学1年):高級部のときから、日本のニュースや新聞が(朝鮮や総聯について)言っていることが事実と違うと感じていた。そうなってしまう仕組みを見極めたくて、メディア関連の学部を選んだ。朝鮮人だが日本のことも知っている。統一したときにきっと役に立てる。留学同で在日朝鮮人の歴史をしっかり学びたい。 セミナーに初めて参加した杉本真理さん(関西外国語大学3年):在日朝鮮人だということでいやな思いをしたことがなかったので、とくに問題意識を持っていなかった。だが、いろんな人と話をするうちに、自分には朝鮮民族の血が流れていることに気づいた。今はまだ、どう生きるべきなのかわからないが、もっと勉強して答えを探したい。 留学同の活動をこれまで以上に活発に
2年ぶりにセミナーに参加した宋増美さん(京都精華大学3年):講義はすごく勉強になった。いろんな人の話を聞いて学ぶことも多かった。文化公演でも感じることが多かった。だが、これまで避けてきた問題なので、切ない感じもした。これからは同胞社会にもっと目を向けていきたい。(留学同の)支部にも顔を出したい。 日高学生会の頃から参加している李華奈さん(京都医療技術短期大学2年):在日同胞が朝鮮人として生きることがなぜ重要なのかについて、講義を聞き先輩の話を聞いていろいろ学んだ。無年金者の問題など、日本政府の差別に憤りを覚えた。日本人として生きるということは、差別を容認することになる。 薬剤師を目指す張美愛さん(名古屋市立大学4年):これまで留学同では「学習」することだけが重要だと思い、飲み会などを嫌っていた。だが、ある同胞学生に「なぜ朝鮮語が話せるの?」と聞かれたとき、留学同などの存在を知らない人もいることを痛感した。留学同活動を無意味なものにしてきた自分自身を反省し、これからはもっと積極的に参加したい。 同胞も多様化、横のつながり大切にしたい 大学院への進学を目指す金太晧さん(同志社大学4年):留学同の存在をもともと知っていたので、すんなり参加できた。初めは「お客さん」気分で行事に参加していたが、先輩になって新入生を連れてくることの難しさを知った。経済の専門知識を活かして祖国の統一に貢献したい。 セミナーで班長を務めた趙仙恵さん(同志社大学2年):質の高い4日間を過ごせた。1、2世が築いたものを引き継いでいかなければ。留学同でも先輩として後輩に気をくばり、学んだことを引き継いでいきたい。行動で示す人間になりたい。
セミナーの実行委員を務めた鄭弼溶さん(神戸大学2年):初めての人も楽しめて、いろんなことを学んでもらえるように努力した。とても有意義なことをしたと思う。これからも横のつながりを大事にしたい。もっと仲間を作りたい。 参加者の中には日本国籍を持つ学生、両親が民団に所属している学生、「ダブル」や「クォーター」の学生もいた。その中で展開された議論。話題は多岐に渡った。 だが、在日朝鮮人という自分の存在を見つめ、「日本社会でどう見られているか」を知ることで、みんなが「自分なりの答え」を模索した。留学同やウリハッキョの大切さも痛感した。 留学同京都の金範重委員長は、問題意識を大事に持って「これからも深いつながりを持っていってほしい」と語った。(李泰鎬記者) [朝鮮新報 2004.8.28] |