「総連綱領改訂を読む」−(上) |
5月28、29日に行われた総連第20回全体大会では、結成以来、堅持してきた民族的愛国運動路線を継承しながら、新しい世代を中心とした運動へと、各界各層の同胞を網羅した幅広い同胞運動へと発展させようという方針にしたがって、総連の綱領が改訂された。大幅な改訂は総連第17回全体大会(1995年9月13〜15日)以来、2回目となる。 第1に「権益擁護」 今回の綱領改訂の特徴は、同胞の切実な要求を実現するため、これまで以上に総連組織を同胞社会にしっかりと根付かせ、同胞大衆の中に深く浸透して活動することをいっそう明らかにした点にある。 とくに1項の改訂は、新しい世代の要求と環境の変化に対応して、在日朝鮮人運動を新しい、より高い段階へと牽引していこうという総連の確固たる意志と決意の表れである。そして総連の第一使命として、「同胞の権益擁護」を新しく明記したことで、在日朝鮮人運動が徹頭徹尾、同胞のための運動でなければならないということをあらためて強調している。 また、同じく1項に「チュチェ偉業の継承、完成のために献身」することを掲げ、広義における総連の使命を明確にした。 「チュチェ偉業」とは、祖国と民族の自主性を実現するための運動である。民族にとっては、祖国の統一と繁栄を実現させることであり、在日同胞にとっては、同胞の権益を擁護し、日本に住みながらも自主的な独立国家の海外公民として、民族の一成員として誇りを持って生きていくことである。 総連の使命は二つに定義されているが、一つの流れにおいて考えなければならない。つまり、「権益擁護」が「チュチェ偉業」に結びつくということだ。したがって、今回の1項の改訂は、総連の使命をより明確にするために、運動の規模と段階に応じて表現を具体化したものだと言える。 使命をより明確に
総連の活動と在日同胞の生命と財産、法的地位と生活を保証するのは国家主権である。祖国があることによって海外公民として堂々と暮らすことができる。 48年8月25日の「南北総選挙」の結果が示すように、朝鮮民主主義人民共和国は南北すべての人民の総意によって建国された唯一正当な主権国家である。在日同胞保護を政綱に定め、戦後の苦しい時期にもかかわらず、同胞の子供たちのために教育援助費を送ってくれ、阪神・淡路大震災など、苦しいときほど同胞愛に満ちた温かい手を差し伸べてくれたのは、何よりも朝鮮民主主義人民共和国だ。だから総連は結成以来変わらず、朝鮮を唯一の祖国として支持し、異国での敵視と差別の厳しい状況のなかでも、常に祖国を愛し、運命をともにしてきた。したがって、同胞を「共和国のまわりに総集結」させることも定められている。 改訂のもう一つの特徴は、今の時代を反映した新しい表現が挿入されたことだ。 2〜5項では、民族性を守り、教育文化事業と同胞生活奉仕活動を「2大中心柱」と定めて総連の事業体系と活動を変えようという、総連中央委19期2回会議(2002年5月21日)の決定を綱領化した。 とくに4項では、総連の同胞社会を構築するためのビジョンを提示し、そのための方法を明示した。「経済活動」「生活奉仕」「福祉事業」という言葉を新たに挿入し、多様化する同胞の要求に逐一対応し、同胞大衆に深く依拠して活動していくことをあらためて強調した。 さらに、5項で「朝・日ピョンヤン宣言」、6項で「6.15共同宣言」を明記したが、同胞の法的地位と処遇を抜本的に改善する運動を、現実問題となっている祖国統一、朝・日国交正常化との密接な関連のもとに推進しようということの表れである。(李泰鎬記者) [朝鮮新報 2004.7.20] |