〈ざいにち発コリアン社会〉 MC、タレント金愛順さん |
九州最大のタレント、モデルプロダクション「ノーメイク」に所属する金愛順さん(26、タレント名=青木愛)は現在、全国ネットのBSフジ「直行便TV」のメインMC(司会)として活躍している。ほかにも「JJ」カットモデル、ブライダル情報誌「ゼクシー」や九州ウォーカーなどのモデル業、ブライダルショー、CM、地元TV番組出演など数々の仕事をこなす。「しっかり話せて、知的できれい」が売りという金さん。「全国規模のタレントとして活躍するのが当面の目標。『在日』としての長所を生かし、日本と朝鮮半島の橋渡し役をできる番組があれば出演したい」と語る。 脚光浴びるのが好き
金さんが「直行便TV」のレギュラーMCとなったのは03年10月。同番組のメインMCには過去、松嶋奈々子、山田まりあさんなどが名を連ね、メジャーデビューの登竜門と言われている。 「決まった時は本当にうれしかった。とにかく初レギュラーの仕事はがむしゃらでした」 内容は、簡単に言えば「テレフォンショッピング」的な番組。金さんは、「いくつもの商品の撮影に何時間も費やし、午前9時から午後9時まで缶詰状態でした」と初仕事をふりかえる。 「仕事に充実感を覚えると同時に人に伝えることの難しさ、自分への課題などがたくさん見えた。今はイメージからか、県や市で提供される問題に関するものなど、正統派番組からの出演依頼が多いですかね」とほほ笑む。 朝鮮大学校師範教育学部(当時、2年制)を卒業後、母校の九州朝高で5年間、朝鮮舞踊の講師として後進の指導にあたった。 生徒と舞踊指導には愛着が強かったが、「自分のやりたい事とは何か違う」という疑問も抱いていた。舞台で脚光を浴びる感覚が忘れられず、やむなく講師をやめることに。 初級部1年から舞踊部に所属し、中級部時代はバレーボール部に。高校から大学まで舞踊部に所属し、学校生活と部活をしっかりと両立させる日々を過ごした。舞台で光を浴びて踊ることの楽しさと充実感を覚えた時期でもあった。 「教えることも好きだけど、自分で何かやってみたいという気持ちがとても強かった」 その強い気持ちが転機を呼び込んだ。99年にモデル事務所にスカウトされた金さんは、仕事のジャンルを問わず与えられた仕事をきっちりとこなした。書類審査、カメラテスト、演技力などのオーディションを経て、01年から現在の「ノーメイク」に所属した。 当初は長く続けるつもりはなく、レギュラー番組獲得への道をあきらめかけた時もあった。しかし、徐々にタレント業の魅力のとりこになっていく自分がいることに気づいた。 「朝鮮舞踊をやっていた当時も、舞台に上がるとパッと気持ちが切り替わるんです。番組も同じようなもので、いざカメラが回ると自分の中のスイッチ≠ェ入るんですよ。脚光を浴びるのが好きなんです」と照れ笑いを浮かべる。 つねに努力すること 事務所に所属しているからといって、仕事がコンスタントに回ってくるわけではない。仕事ごとに求められる出演者が異なるのは当然で、クライアントがそれぞれの仕事にあわせて書類審査、オーディションを実施し、合格者を決定する。 毎回、いろんなタイプのプロデューサーからオーディションの話が持ち込まれるとあって、「つねに努力する事が大切」と金さんは語る。 「日頃から国際情勢、社会問題、文化などさまざまな分野の知識を身につけ、原稿の内容をしっかり把握しておく事はMCとして不可欠。知らない分野があっては、急な仕事に対応できない。最近では新聞に目を通すのはもちろん、今まで読んだことのないジャンルの本も読み始めている」 そんな勉強熱心な金さんの実家は焼肉店。事務所の仕事が一段落すると、夜は店を手伝うハードな毎日だ。「店を手伝うのも勉強のうち。『がんばって』と声をかけてくれる常連さんの一言はとても力になります」。 過去、「在日」にしかできない事を求め、02年の日韓サッカーワールドカップの通訳に応募するなど関連する仕事をくまなく探し歩いた。今もその気持ちはとても強いという。 「番組を通じて北南朝鮮と日本の橋渡し役をしたいし、こんな在日もいるんだっていう事をみんなに知ってほしい。ナレーションをしっかり話せ、次の仕事につながる息の長いMC、タレントを目指したいですね」(金明c記者) [朝鮮新報 2004.6.15] |